コロナ禍で皇室の活動が見えづらくなっている
そういう観点で見るなら、その最前線に立つべき天皇陛下と雅子さまは苦戦中だ。背景にあるのが、新型コロナウイルス。2020年の3月以降、お二人はほとんど赤坂御所か皇居にいる。
宮内庁ホームページの「天皇皇后両陛下のご日程」を見てみると、直近(2021年4月1日から6月8日まで)でお二人が皇居外に出たのは1回。千代田区で開かれた「第15回みどりの式典」への出席(4月23日)だけで、「福島県行幸啓」(4月28日)と「島根県行幸啓」(5月30日)もあったが、どちらもオンライン。感染拡大防止という観点からはやむを得ないが、バーチャルには限界がある。
この間の朝日新聞の報道を見ても、お二人の動向を伝える13本の記事はほとんどが短信だ。陛下が皇居内で稲の種もみを蒔き(4月6日)、陛下と雅子さまが熊本&鹿児島の児童らとオンラインで交流し(5月12日)、陛下は田植えをし(5月26日)……。ルーティンワークが中心だから、そうなってしまう。
「各国の王室はいまやSNSを活用して、喧伝に努めている」
唯一の例外が、「愛子さま、愛馬とお別れ」という5月12日夕刊の記事だった。愛子さまが小さい時から何度も乗った雄馬が人間なら80歳くらいの高齢になり、御料牧場で余生を過ごすことになった。そこで愛子さまは5月6日、皇居内の宮内庁主馬班を訪問、別れを告げた。そういう内容だった。
コロナ禍で活動が見えなくなり、目立つ情報は眞子さま(というか小室さん)のものばかり。このままでは、存在意義さえ見えなくなりそうな皇室に必要なのは、国民の心をつかむハートウォームな情報だ。こんな情報が積み重なれば、事態はだいぶ変わる。読みつつ、そう思った。今は、そのための広報体制を整えるべき時なのだ。
関東学院大学の君塚直隆教授は、<「皇族の公務が少なすぎる」小室さん騒動で霞む“令和皇室”の本当の大問題>という記事(プレジデントオンライン、2021年6月8日)でこう指摘している。
「ヨーロッパで君主制をいただく国民の多くは、王族たちが自分たちや世界全体のために日夜努力している姿を見て、王室に信頼を抱いているのが現状なのである。そのいずれにおいても英国が『嚆矢』となっており、各国の王室はいまやSNSを活用して、自分たちの喧伝にも努めているのである」