専業主婦に「もっと堂々としていいんだよ」と言いたい
【田房永子さん】2人目の出産後、近所でママ友が欲しいと思って、地域の集まりに参加したことがあります。そこにいたのはたまたま全員私と同年代で、2人目を生んだばかりのママ。私以外は専業主婦の人たちでした。彼女たちの話を聞いていて、日常的に夫に対してすごく遠慮している様子がわかりました。
夫はオムツも替えられないし、冷凍した母乳をあげることもしてくれないから、美容院に行っても2時間以内に帰らなければいけない。毎日帰りは遅いから、育児が身につかないということでしたが、夫たちの職業を聞いてみると、比較的自由に時間が作れる職種でした。
彼女たちは「もうちょっとできるようになってくれたらいいのに」と嘆きつつ、自分の稼ぎがないことで「私が社会的にできることは何もない」と思い込んで、夫に感謝しなければいけないと恐縮していました。
そのママたちと話したとき、あなたたちのほうが夫よりよっぽど労働量多いし大変だよ! もっと堂々としていいんだよってすごく思ったんです。そのときは初対面だから言えなかったけど、彼女たちにこの漫画を読んでほしい、と思いながら描きました。
男性よ、あなたは何も悪くない
——頭で家事育児をしないといけないとわかっていても、なかなか行動に移せない男性は多くて、そんな夫に腹を立てる妻も多いです。いったい彼らを動かすにはどうしたらいいのでしょうか?
【田房永子さん】いまや「イクメン」が死語になったくらい、男性も家事育児しなきゃいけないって空気になりましたよね。でもたった数年前までは、「男は結婚したら家事育児は最低限でいい」という雰囲気がまだありました。なのに急にアップデートしなきゃいけないんだから、男性も大変だろうなって思います。でも実際、まわりの家事育児するパパたちを見ていると、嫌々やっている人ってほとんどいない気がします。みんな普通にやっています。
そのパパたちはもともとそういう人だったのかもしれないけど、特権を手放す覚悟をした瞬間があった人もいたんじゃないかなと思います。私自身、「女の特権」と思い込んでいたものを「これは実は不都合だ」と気づいて、手放す瞬間がありました。