アドバイスする側「上から目線」「苦言小言」「丁寧すぎ」はNG

今度はアドバイスを送る側の視点で考えてみたい。先述した通り、「上から目線の苦言小言ばかり」「話が長く、丁寧すぎる」アドバイスはむしろ弊害をもたらすことがある。

コーチや上司は、選手や部下に対して、「伝え方」を工夫するべきだろう。多くのことを一気に注意するのではなく、要点を絞って伝えたほうがいい。具体的に言うと、その場では特に重要なポイントのみをアドバイス。後日、その他の修正すべきことを簡単にまとめて伝えて、選手自身でフィードバックできるような状態を作ってあげることが大切だ。

あれこれ言いたくなるときもあるだろうが、そこはグッとこらえよう。選手や部下が成長することを最優先できるように気をつけたい。

ただし、選手任せ、部下任せも良くない。コーチや上司の言葉は選手や部下の“やる気”を引き出すからだ。取材で箱根駅伝などに出場する大学の監督を見ていると、ほどよい頻度で、シンプルな言葉を用いて選手に短くアドバイスしている。名伯楽と呼ばれる監督ほど、その傾向が強い。バランスのとれた“指導”ができると、教える側は無駄なエネルギーを使うことなく、教わる側も新たなスキルを習得しやすい。両者にとってウィンウィンな関係になるだろう。

アドバイスする側の一方通行では意味がない。教える技術を向上させることで、個々はもちろん、チームのレベルも高まっていくはずだ。

若い世代が「ダルビッシュが理想の上司」という理由

明治安田生命が今春入社した新卒学生や社会人に聞いた「理想の上司」調査(2021年2月発表)の「スポーツ部門」で、ダルビッシュは10位に入った。1位は、現役を引退してもなお、高校野球の指導など野球界に貢献するイチローさん(3年連続)。

ベスト10内の現役選手は、2位の長谷部誠(フランクフルト・37歳)、4位の長友佑都(マルセイユ・34歳)7位の本田圭祐(ネフチ・バクー・34歳)、9位の坂本勇人(巨人・32歳)、10位タイのリーチマイケル(東芝・32歳)、そしてダルビッシュの6人だ(調査対象を男性に限れば、スポーツ部門でダルビッシュは6位、現役選手内では3位)。

ダルビッシュは、アメリカでプレーしながら、日本球界レベルアップのために常に目配せしている。それは前出の佐々木投手だけでない。例えば、2017年にドラフト1位指名を受けた最速150km超の投手はなかなか芽が出ず、昨オフ、球団から支配下契約を結ばない旨を通告された。それを報道で知ったダルビッシュは面識がないにもかかわらず、わざわざつてを頼って、半ば引退を決めていた選手に直接電話を入れ、「もったいないんじゃないか?」との文面も送ったという。

自分に寄り添い、温かい言葉をもらったその選手は、「背番号139の育成選手」として球団と契約する決断をする。選手が今後成功するかどうかはわからない。だが、スポーツの現場でも、仕事の現場でも、今求められているコーチ・上司とは、こうした選手の心に火をつけ、前向きになれるように支える人ではないだろうか。

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