ドラフト1位でプロ野球のロッテに入った佐々木朗希投手(19歳)が5月16日にプロ初先発した投球内容について評論家らから苦言が相次いだ。これに対して、米メジャーで活躍するダルビッシュ有投手はブログで「ネガティブな言葉は無視して、ネガティブさは自分自身で持ちながら成長して」とメッセージ。スポーツライターの酒井政人さんは「今、コーチや上司に求められるのは、上から目線の物言いではなくダルビッシュのように寄り添ってくれるタイプです」という――。
ジャイアンツ戦で力投するパドレス先発のダルビッシュ有投手=2021年4月30日、アメリカ・サンディエゴ
写真=時事通信フォト
ジャイアンツ戦で力投するパドレス先発のダルビッシュ有投手=2021年4月30日、アメリカ・サンディエゴ

「ダルビッシュ有の教え」上司や先輩のネガティブ意見への対処法

どんな世界でも“先輩風”を吹かせてくる者がいる。特に注目を浴びる有能な人材に対してマウントを取りにいくような行動をとる年配者は少なくない。

2019年高卒ドラフト1位でロッテに入団した佐々木朗希投手(19歳)。5月16日の対西武戦でプロ初先発したことについてもスポーツニュースなどでプロ野球経験者からさまざまな指摘があった。

佐々木は5回を投げて被安打6の4失点(自責点2)。5つの三振を奪い、勝ち投手の権利を持ってマウンドをおりた(試合は引き分け)。そんな佐々木のデビューについてMLBで活躍するダルビッシュ有(パドレス・34歳)が自身のブログで言及したことが話題になっている。

〈バッターのレベルも上がっている今の時代に高卒2年目でいきなり5回を投げて、勝ち投手の権利を持って降板とはロッテの吉井投手コーチも頼もしく、楽しみに感じているのではないでしょうか〉

「何人の人が19歳時点で佐々木投手より上だったんだろう、えー?」

このように高く佐々木を評価した上でこう続ける。

〈試合後は色々な人が『ここが課題だ』『もっとこうするべきだ』なんて言ってるのを見かけましたが、そういう人の中で一体何人の人が19歳時点で佐々木投手より上だったんだろうえー? って思ってしまいました!〉

ちなみにダルビッシュのNPBデビュー戦(当時の所属は日本ハム)は1年目の2005年6月15日。札幌ドームでの広島戦に先発して、8回まで被安打3で無失点という圧巻の内容だった。9回に、2本の本塁打を打たれて降板したが、松坂大輔以来の高卒初登板・初先発勝利を飾っている。

150キロ超えの速球をバンバン投げる佐々木に対してダルビッシュは大きな期待を抱いているようで、前出のブログで〈これからも他人のネガティブな言葉は基本無視して、ネガティブさは自分自身で持ちながら成長していってほしいなぁと思います〉と結んだ。

NPB、MLBの両リーグで素晴らしいキャリアを残している偉大な先輩の言葉は佐々木の心に響いたことだろう。