月6万円の黒字になって始めた老後資金作りの作戦とは

もう妻の両親からの仕送りがなくても生活はできるので、仕送りを断る連絡を入れたのですが、妻の両親は「わずかだけれど、相続の意味もかねて」と継続すると頑として譲らなかったそうで、引き続き受け取ることにしたそうです。

そのため、毎月6万円を超える余剰金が確実に。まずは生活防衛資金作りを目的に貯金をすることにしました。目標額は、削減後の生活費の1年分となる約300万円。そして、老後資金作りも併走させていくため、まずは夫が私のところで投資教育を受けながら、iDeCoを月2万3000円で始めていくことにしました。残る月4万3000円と、年約100万円のボーナスを貯金していきます。

写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

これらが順調に進んでいけば、美和さんが哲学系の通信大学に通うことを検討してみることも可能です。卒業後の働き方やどのように学びを暮らしに役立てるかは未検討。現状は美和さん自身の純粋な学びの楽しみですが、今後、将来の自分像を明らかにでき、さらにお金を貯める意欲につながるのならより有意義なものになるでしょう。

ところで、以前陥っていた赤字家計の実態を、夫の健司さんはiDeCoの話を聞きに来るまで知りませんでした。ただ、病気になった時の憔悴しょうすいした美和さんの様子をよく知っていたため、理解を示し、今後はお金の使い方を改善するという前提の下、将来の通信大学入学について理解を示してくれました。

とてもやさしい夫です。目標が見つかったので、お金を貯めることを頑張れそうだと美和さんは話し、現在も継続して頑張っています。

今回は少し特殊なケースの家計事例でしたが、知らないうちにあることに大きなお金をかけてしまうことがあります。本人にとって、それは心のよりどころであったり、将来目指すものであったりとさまざまな意味がある場合があり、「浪費」と切って捨てることはできません。ただ、だらだらと支出を続けているのであれば、時期を見てその必要性を再確認することも必要です。

人生には年代に応じたステージがあり、若いうちは自分の将来に向けて自己投資をしていくことも良いでしょうが、仕事をして収入を得られる期間には限りがあります。それが見える年代になると、老後の生活も視野に入れて家計をやりくりしなければなりません。

その取り組み内容は、各家庭の収入や貯蓄額、考え方などにより異なるため断言はできませんが、「今のままではいけない」と思えた時が行動を変える絶好のタイミングです。気付きをそのままにしてしまわず、立ち止まって今すべきことを考えてみましょう。

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