タイプを超えて交わらない

さて、3つのタイプの人たちについて考えてみました。

興味深いのは、「お互いが交わりにくい」ということです。仕事が減り、暇になって時間ができた①の人たちは、同様に時間が余っている人と交流します。

また、仕事に振り回され、忙しい②の人たちは、ハードな業務サイクルに呑み込まれて交流どころではありません。

面白い企画やプロジェクトで忙しい③の人たちは、同種の仲間と、さらにエキサイティングな取り組みに没頭しています。

リアルでの接触が減って、オンラインでのコミュニティ活動や、2021年のClubhouse登場など、SNS上の動きが話題になることが増えました。それによって、声が「かかる人」「かからない人」の様子が、奇しくも見える化されたのです。

世の中は自己責任の方向へ

コロナ禍でかなりダメージを受けた業界では、休廃業の増加や早期退職者の募集に関するニュースが報道されました。

このような中、国内大手企業を中心に、副業を解禁する動きが広がりました。企業は、人件費の負担を抱えきれなくなっています。

また、「タニタや電通が正社員契約を業務委託契約に切り替える」「みずほフィナンシャルグループが週休3日や4日で働ける制度をスタートする」といった事例も話題を集めました。こういった動きは、今後も進んでいくでしょう。

いわゆる「フルタイムの正社員」は徐々に減っていき、もしかしたら多数派ではなくなる日がくるのかもしれません。

コロナ禍の前からこうした流れの始まりは見られており、2019年にトヨタ自動車の豊田章男社長の「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という発言が話題に上っていました。終身雇用の崩壊は、リアリティを増してきています。

企業の観点から見ると、日本の法律では、会社が正社員を解雇することは非常に困難です。しかし、個人事業主との契約であれば、当然ながら、正社員とは扱いが異なります。また、副業や週休3日(4日)を認めることは、同時に給与の総額を抑えることにもつながります。

働く側としては、副業や個人事業主契約という形で「自由」を得る代わりに、自分や大切な家族の生活を「自己責任」で守らなければなりません。

これら一連のトレンドは、「給料をこれまでのようなペースで上げていくのは難しい。収入を増やしたければ、自分でなんとかしてほしい」という会社からのメッセージです。

給与が上がっていくどころか、「ただ真面目に出勤していれば居場所が守られる」ということさえ、もはや期待できません。

写真=iStock.com/Tero Vesalainen
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