難問を解くのに必要な「やればできる」気持ち

それは、前向きな気持ちだ。では、前向きな気持ちを持つには何が必要か。それには、「自分はやればできるんだ!」という自己肯定感を持つことだ。では、誰がそれに気づかせてあげられるのか? 私は、それこそが親の大事な役割だと感じている。

中学受験の勉強が始まると、テストの点数や模試の結果など、常に現実の数字を叩きつけられる。すると、親は「このままでは合格できない」と焦り、勉強量を増やして、もっと頑張らせようとする。だが、小学生の子供は、勉強量を増やすだけでは伸びていかない。むしろ、許容量を超えてしまうと、やらされ感が募り、無気力になる。子供は「楽しい」という気持ちがなければ、頑張ることはできないのだ。

「学習プラン作り」で自己肯定感を育む

子供の成績を伸ばしたければ、子供に気持ちよく勉強をさせることだ。そのためには、余裕を持った学習プランでなければいけない。中学受験は、子供がまだ幼いため、親が学習管理をしがちだ。だが、親が何でも決めてしまい、しかもその量が膨大だと、子供はやる気をなくしてしまう。だから、子供に自己裁量権を渡してあげてほしい。自分が決めたことなら、頑張ろうと思えるからだ。

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だが、子供だけにすべて任せるのは現実的ではない。そこで、親が「今日は何をやりたい?」「テストまであと3日だけど、何をやったらいいと思う?」「この間のテストでここができていなかったから、もう少し強化した方がいいと思うけど、今日やってみようか?」など、子供にやりたいことを聞いたり、親としてぜひともやらせたいことを提案したりし、最終的に子供自身に選ばせるというのがいいと思う。

はじめは、「やる」と言っていたのにやれなかったなど、うまくいかないこともあるだろう。だが、そこでできなかったことを責めるのではなく、やろうとした努力を認めてあげてほしい。その上で、どうしたらよかったかを親子で考えていく。そうやって試行錯誤しながら、少しずつ精度の高い学習プランを考え、頑張った姿勢が見られたら、褒めてあげる。その積み重ねが自信となり、「自分はやればできる子なんだ」という自己肯定感を育んでいく。