リバウンドしない会社は「目的」が違う

せっかく社を上げて取り組んだペーパーレスも、数カ月後にはリバウンドしてしまっている会社も少なくありませんでした。

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では、ペーパーレスが続く会社と、そうではない会社との間には、一体どのような違いがあるのでしょうか? 私はたくさんの会社の相談に乗っているうちに、各社の「ペーパーレス」の捉え方には、けっこうな差があることに気づいてきました。

私が各社の差を感じることのうちの1つが、ペーパーレス化の目的、狙いです。

ペーパーレスを「コスト削減」として捉えている会社もあるようですが、真の狙いはデジタル化による「情報共有のための環境作り」と思ったほうがいいでしょう。例えば情報をデジタル化しておけば、外出先で急に資料が必要になった場合でも、オンラインを通じて速やかに資料を入手・送付することができ、大切なビジネスチャンスを逃しません。また、最近の在宅勤務や、急な出先での仕事でも、慌てることなく、全て同じ環境で仕事に取り組むことができます。これだけでも精神的な負担はとても軽くなるはずです。

20年前に上司から「紙出力しちゃダメよ」

各社いろいろな社内事情があるとは思いますが、私が経営する会社では、ペーパーレスが社内で持続定着するよう後述の5つのルールを設けて運用するようにしています。

この5つのルールは、私の仕事術に大きな影響を与えたPwCコンサルティングでの勤務経験と、独立後に企業再生の際に用いた経験に基づいています。

なかでもIT界の大物、倉重英樹氏率いる2001年当時のPwCコンサルティングは、外資コンサルの世界でも類を見ないレベルで、ITと人事の両面から次世代のワークスタイルやワークプレイスの導入に取り組んでいる、超先進的な企業でもありました。

前職NTTから転職して初めての上司面談時に、気を利かせたつもりで自分のレジメを紙出力して持っていくと、「紙出力しちゃダメよ」と注意を促されたのには内心面食らいました。その他にも色々驚いた事はあったのですが、デジタルな働き方にそれまで多少の自信があった私も、この徹底した環境や仕組みには、言葉にならないほどの衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。