最初は「興味があるふり」でもいい

そもそも会話自体が苦手というような雑談の「初心者」には、まず「話すことより聞くことを意識する」ことをおすすめします。とはいえ、聞くこともそう簡単なことではありませんよ。「うんうん」とうなずくのも、タイミングがちがえばおかしなことになりますからね。しっかり聞くにはどうすればいいかというと、「相手の話に興味を持つ」のです。

写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

雑談が下手、コミュニケーションが下手な人は、他人への興味がないということがほとんどです。人の話に興味を持てば、きちんと聞くことができますから、自然に雑談が成立するようになります。

でも、「実際に興味がないからしょうがない」という人もいるでしょう。どんな人も赤の他人のことには基本的にはそれほど興味はありませんからね。

そういう場合は、「興味があるふりをする」のです。でもそうするには、瞬間的に「この人の話に興味がある」と思い込まなければならない。そのトレーニングを繰り返すうち、雑談のあいだはしっかり相手に興味を持って話を聞くことができるようになるはずです。

「気の利いたことがいえない」中級者は…

続いて、それなりに会話は続けられるが、「気の利いたことがいえていない気がする」というような雑談の「中級者」に向けてのアドバイスをしましょう。まず、気の利いたことを話すなんて、そう簡単ではないことを知ってください。気の利いたことを話していると思われる人は「気の利いた話し方」をしているのです。話の中身ではなく伝え方がちがうということですね。

なにかプレゼントをもらって「うれしい」と思ったとき、どんな気の利いたことがいえるでしょうか。誰にとっても難しいですよ。でも、「うれしい」「ありがとう」という簡単な言葉も、気持ちを込めて「わあ、うれしい! ほんとにありがとう」といえば、相手をうれしくさせるような言葉になるのです。

そういう伝え方を磨くためにわたしがおすすめするのは「落語」です。古典落語には決まった演目があります。つまり、話す内容は同じなのです。それなのに、名人といわれる人と若手とでは、まったくちがって聞こえるから不思議です。そのちがいはなにかと、探りながら落語を聞けばいろいろと気づきがあるはずですよ。