上級者は“初対面”を探しに行く
雑談の達人になりたい「上級者」の人には、ぜひ、「外」に向かって出て行ってほしいですね。
気の置けない飲み仲間と話すのは、誰にとっても簡単なことなのです。ところが、そこに新しいメンバーが入ってきた途端、それまでの会話は通じなくなってしまう。なぜなら、誰がどんな人間でどんなエピソードを持っているという知識が新メンバーにはないからです。逆に、自分にも新メンバーの知識はありません。そういう人との雑談は難易度がぐんと上がります。上級者を目指す人は、互いに知識がない人と積極的に話して雑談力を磨いてください。内輪の人間関係の「外」には、いくつもの「宝」があるのですから。
その「宝」は「運」といってもいいかもしれません。わたしがこれまでにインタビューを受けてきたことも「運がいい」という言い方もできるでしょう。でも、その運は超常現象のように与えられたものではありません。どこかでわたしと知り合った誰かが、「安田さんの話はおもしろいよ」といってくれたというような、雑談でスタートした誰かとのコミュニケーションが、巡り巡って運やチャンスを引き寄せてくれるのです。
内輪の人間関係の「外」に目を向けてみて
そういう「宝」や「運」を手に入れるため、とくに若い人には内輪の人間関係の「外」に目を向けてほしい。会社に勤めている人の場合、35歳くらいまでの若いうちはある程度のレールが敷かれていて、そこを走ることで目一杯です。もう少し年齢が上でも、部長や役員になるといった目標に向かって走り続ける人もいるでしょう。ところが、60歳を超える頃から人生はがらっと変わるのです。
いま、わたしは67歳です。若い人が走らなければならないレールから外れ、ある程度、自由な身になっています。すると、「こういうビジネスの話があるんだけど」「うちの会社の役員になってくれないか」といった話が次々にやってくるのです。その出どころはどこかといえば、やっぱり雑談を通して知り合った友人たちですよね。
若いうちから雑談力を磨いて、人間関係をどれだけ「外」に向かって広げられるか。その成果がみなさんの将来を大きく変えることになります。