「腹筋トレをやっていれば腹筋が割れる」と聞かれたトレーナー
じつは、日々腹筋を鍛えている人々には、「間違った知識」や「間違ったトレーニングの仕方」を信じ込んでしまい、まったく見当違いな方向に突っ走ってしまっている人が非常に多いのだ。
なかには、腹筋をガチガチに固めたために、かえって自身のパフォーマンスを落としてしまっているケースも目立つ。腹筋へのこだわりが逆にマイナスの結果を招いてしまっているわけだ。なぜ、腹筋を固めることがパフォーマンス低下につながるのか。その理由はこれから順を追って説明していくことにしよう。
腹筋に対するいちばんの誤解。それは「腹筋トレさえやっていれば腹筋が割れてくる」と勘違いしている人が多い点だろう。
みなさんの中にも腹筋をタテ割りさせるため、上体を繰り返し寝かせたり起こしたりする腹筋運動に励んできた人がいらっしゃるかもしれない。そんな人々は、きっと“えっ、ウソ、違うの!?”と驚いているのではなかろうか。
せっせとがんばってきたみなさんには申し訳ないが、腹筋トレはいくらやったとしても腹筋をタテ割りさせることにはつながらない。
では、いったい腹筋をタテ割れさせるにはどうすればいいのか?
分厚い腹筋を持っている力士のお腹が割れていない理由
それには、体脂肪を落とすことだ。
意外に知られていないのだが、「腹筋のタテ割れ」は腹部体脂肪の減少によって起こる現象なのである。すなわち、体脂肪さえ減らしていけば、腹筋トレなんかまったくやらなくても筋肉が浮き出て腹が自然に割れてくる。
要するに、「タテ割れ」という現象に関係しているのはあくまで体脂肪の量であって、筋トレの量はあまり関係していないのだ。
まあ、日々腹筋トレをがんばっていれば、腹直筋などが太くなってはくるので、浮き出てきた腹筋を多少目立たせることにはつながるかもしれない。しかしながら、「筋肉が割れたように浮き出てくる」という現象そのものは、「体脂肪の減少」という条件が満たされなければ絶対に起こり得ない。
これに関しては、大相撲の力士たちの腹筋が割れていないのを見れば腑に落ちる。もちろん力士たちはこれでもかというくらい腹筋を鍛えていて、常人とは比べ物にならないほどの太い腹筋を備えている。
だが、そうした腹筋の盛り上がりは、分厚い脂肪の下に隠れてしまっていてまったく見えない。つまり、力士たちの身に「体脂肪の減少」という事態が起こらない限り、彼らの「驚異的に盛り上がった腹筋」にお目にかかれることは永遠にないことになる。
なぜ、腹筋トレをがんばってもタテ割れにつながらないのか、みなさん納得していただけただろうか。