運用開始に当たって、グーグルは「ニュース・ショーケース」に契約した報道機関に対し、「3年間で総額10億ドル(約1100億円)を支払う」とうたった。
「ニュース・ショーケース」に参加すれば、自主的な運用が保証されるうえに対価が得られるため、各国の報道機関が次々に参加を表明した。
イギリスでは、フィナンシャル・タイムズ、デイリー・テレグラフ、インディペンデントなどの主要紙や地方紙、ロイター通信、経済誌エコノミストなど約120の報道機関。ドイツは、シュピーゲル、シュテルン、ディー・ツァイトなどの有力メディア。ブラジルは、フォーリャ・ジ・サンパウロやバンデランテスなどが名を連ねた。
フランスでは1月末、ル・モンドなどの大手紙や中小の地方紙など121社が加盟する「一般報道同盟(APIG)」に対し、年間2200万ドル(約24億円)を3年間支払うと約束した。
オーストラリアでは2月、メディア大手のナイン・エンターテインメントと合意、契約額は年間3000万豪ドル(約25億円)以上と報じられた。
当初の参加は約200社だったが、半年のうちに続々と増えて500社を超え、今や世界をまたぐ一大プロジェクトになりつつある。
フェイスブックも「3年間10億ドル超」で追随
一方、フェイスブックは、グーグルに先立つ19年10月、報道機関に初めて記事使用料を支払うニュース配信サービス「フェイスブックニュース」を始めた。
当初の対象は米国の報道機関に限られ、ニューヨークタイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルなど大手メディアと個別に契約。1月にはイギリスでもサービスを開始した。2月末には、グーグルをにらんで「今後3年間で10億ドル超を報道機関に拠出する」と宣言、米英以外にも世界展開を図る構えを鮮明にした。
フェイスブックは、過去3年間で6億ドルを報道機関の支援のために投じてきたと自任しており、これに積み増して「フェイスブックニュース」の記事使用料として支払うという。運用は、フェイスブックが利用者の居住地や閲覧履歴を分析して利用者の好みに合わせたニュースを選んで表示するが、編集作業はフェイスブックから独立したチームが担う。ニュースの選択を契約した報道機関に委ねるグーグルとは、ニュースの発信主体がまったく異なるのが特徴だ。
グーグルの「ショーケース」は従来の「マスメディアの延長線上」に位置づけられるが、「フェイスブックニュース」は「いわゆるマイメディアの新しい形」といえる。