「人」ではなく「役割」を育てる

私がよく言う考え方に「役割を育てる」というものがあります。新規採用をするにしても、今いるメンバーの部署配置を考えるにしても、人ありきではなく、役割ありきで考えます。

多くの会社は、最初に人があり、何らかの役割を預けるというやり方になっているのではないでしょうか。

一方、キャスターではまったく逆で、まずは役割があり、それに対する報酬を設定し、最後に誰にやってもらうかを決めるという考え方をしています。

役割を起点に考えると、週3回の勤務でもいい、業務委託でもいい、リモートでもいいなど、働き方は柔軟に考えられるようになります。もちろん役割から考えてフルタイムである必要があるという結論になることもありますが、どちらにしても多様な人材を受け入れやすくなります。

差別を乗り越えるための「ジョブ型」

この考え方は一般的には「ジョブ型」と呼ばれています。役割に着目した働き方で、人事コンサルティング会社の世界的大手であるヘイコンサルティンググループの創設者が提唱しました。

本社はアメリカにあり、もともとは人種差別の撤廃を目的にした考え方です。現在も黒人に対する差別が問題になっていますが、当時は採用においても人種による明確な差別があったそうです。特にメンバーシップ型の考え方、つまり「人を選ぶ」という発想だとどうしても不利になってしまう人が出てきてしまいます。

そこで、求められる役割を果たせる人材を選ぶようにする。すると、人種に関係なく役割に合った人を選ぶようになり、結果的に多様な人がそれぞれの役割を持って働ける社会になっていきますし、社会はそうならないといけない。そういう理念をもとにした考え方なのです。

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ジョブ型の考え方を実現するには、会社が役割を育てないといけません。また、役割を育てていくためには、会社や事業そのものが成長していかないといけませんし、仕事の構成や業務フローなどを柔軟に変えていく必要があります。

そうして「任せたい役割」がどんどん増えていくと、多様な人材が集まる会社へと変貌へんぼうげていくのです。

「会社に必要な役割は何か?」から始めよう

マネジメントとして着手すべきは、役割ごとの目標を明確に定めることです。何がミッションで、何をしてほしいのかを役割ごとに定めてください。

それがないと、誰をどこに配置すべきかわかりません。また、その配置が合っているのかもわからないでしょう。マネジメントとして何を求めるのか、その役割は社員でなければならないのか、フリーランスがいいのかなども決まりません。

人材の配置は「今いる人に何をしてもらうか?」から始まることが多いのですが、「会社に必要な役割は何か?」から始めるといいでしょう。「人ありき」ではなく、「必要な役割ありき」で考えるわけです。とくにいま漠然と何らかの役割を担っている人については、きちんと再定義してあげないといけません。

ただし、それぞれの役割を定義していった結果、人材が余っていることに気づく可能性があります。その場合は役割を分散したり、新しいことにチャレンジしたりするなど、臨機応変に対応してください。

メンバーの役割を決めるには、会社の事業や戦略の見直しが必要です。現在の事業でどのくらいの目標があり、今後はどう成長したいのか、どう事業を展開していくのかなどを明確にしないと、必要な役割も見えてきません。

逆に考えると、役割が見えてこないのは、会社の方向性や戦略など、会社にとって最も重要なところが決まっていないからです。当然ですが、それらは社員が考えるものではなく、経営者やリーダーが担うべき大切な仕事なのです。

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