たかが会社…
マネジャーやリーダーのポジションにあって苦しんでいる人の多くは、「過剰な理想」とのギャップに苦しんでいます。
会社とは、事業や目的があり、それを達成するために人々が集まっている集団にすぎません。それなのに、「自己実現の場が必要ではないか」「家族的な集団が理想なのではないか」などと余計なことを考え、いろいろな意味づけを与えすぎている……。
私がよく言うのは「たかが会社」です。
「会社とはこうあるべき」「組織とはこうあるべき」という“べき論”を時折耳にしますが、組織は「組織」という人がいるわけではなく、「今いる人の集まり」でしかありません。「今いる人」が変われば、当然組織も変わる。それなのに、なぜあるべき理想像が限定されるのでしょうか。
私はとても不自然に感じます。
好かれる<成果:マネジャーがやるべき「4つ」のこと
多くのマネジャーやリーダーが、メンバー全員ときちんと打ち解けないといけないという幻想にとらわれているように思います。もちろん、打ち解けられたほうがいいですが、それは本質ではありません。
もちろん、丁寧にコミュニケーションを取ったり、仕事のしやすい関係を築くために意識的に雑談を多くしたりするなどの配慮は必要でしょう。しかし、無理に「うまくチームをまとめよう」「皆に好かれよう」とする必要はないのです。
マネジャーやリーダーの本質的な仕事は「成果のマネジメント」です。チームのミッションや成果に責任を持つ立場ですので、その達成が第一義です。メンバーからどれだけ好かれていても、目標の未達が続いていれば、会社からすると意味がありません。
あくまで目標の達成のために、メンバーと円滑コミュニケーションを取れたほうがいいですし、全員が働きやすいほうがいいというだけのことです。
そう考えると、マネジャー、リーダーの役割は、徹底的にシンプルでいい。具体的には次の4つだけです。
②各メンバーの権限を明確にする
③情報の透明性を高める
④「何を言っても大丈夫」という雰囲気を作る
業種などに関係なく、マネジャー・リーダーが考えるべきすべてのポイントはこれに集約されていると言っていいと思います。
目標設定が力量のすべて
マネジャーのミッションは、あくまで「チームに与えられたミッションを、チームで達成すること」。そのために各人に与えられている役割を、全員が全うできるようにサポートすることです。
その実現には具体的かつ適切な目標を設定しなければなりません。結果の評価にばかり目が行きがちですが、マネジャーにとって「目標設定のスキル」のほうが何倍も大切です。
目標が明確でないのに、結果を評価することはできません。その人に合わせた適切な目標を設定できるかどうかはマネジャーの力量にかかっています。
たとえば、普通にやれば余裕で達成できる目標を設定し続けても成長しません。逆に高すぎても、未達が続き、メンバーのモチベーションが下がるだけです。
その人が頑張れる方向で、実際に頑張ったら手が届くくらいの目標を設定しないといけません。しかも、事業内容やチームの方針と紐づいている絶妙な目標を設定する。つまり、「その人がやりたいこと」だけではなく、「会社としてやってもらわないといけないこと」もきちんと含めた目標です。
それをやっていないと、結果に対して「頑張った」「成長した」といった抽象的な評価になってしまいます。これが日本の会社における大きな問題点です。