メンバーを自走させる仕組みを作る

リモートワークを導入すると、姿や仕事ぶりが見えないため「メンバーが主体的に動かなくなるのではないか」と心配される方が多いかもしれません。

オフィスで働いている時も「部下自身が主体性を持って、自分から動いてくれない」「指示待ちばかりで、自分で考えて仕事をしてくれない」などと嘆いている方がいます。それは主体性に対する勘違いです。

主体性というのは、個人ではなく組織に紐づいている、と私は考えます。

部下やメンバーが主体性を持って自発的に仕事をしてくれるかどうかは、その人個人の能力やモチベーションの問題というよりも、組織の仕組みの問題であることがほとんどです。つまり、会社組織やマネジメントする側が、部下やメンバーが主体的に動ける環境を作っているかのほうが重要なのです。

会議室のビジネスマンと同僚が歩く
写真=iStock.com/AzmanL
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メンバーが主体的に働き出すための条件

部下やメンバーに主体的に働いてもらうには、次の4条件が必要です。

①自走を可能にする情報が共有されていること
②自身の判断で動いていい権限を与えられていること
③自身が何をすべきか考える能力を備えていること
④失敗してもマイナス評価にならないこと

おわかりの通り、「自走する=主体性を持って仕事をする」ために必要なのは、ほとんどが組織側の問題なのです。本人に必要なのは、3つ目の考える能力のみ。

これにしても、本来は上司がきちんと教育できていればクリアできるので、やはり本人だけの問題ではないのです。

たとえば、新卒の社員に「企画を考えて」と言っても、基本的な考え方がわからないのに考えられるわけがありません。

ところが、「うちのメンバーは主体性がなくて……」という上司が必ずいます。それは社員やメンバーが主体性を持っていないのではなく、マネジャーやリーダーが主体性を発揮できないようにしていると考えるべきなのです。