サイコパスにはグラデーションがある
サイコパスについても、その一語で括るのは非常に簡単ではあるが、実際にはグラデーションがある。サイコパス傾向が強い人、弱い人、傾向が強く出るタイミングや日、出ないタイミングや日はそれぞれ大きいばらつきがあることには注意が必要だ。
ここで自分自身のサイコパス傾向を簡単にチェックしてみよう。ヘアサイコパステストというテストがある、図表1の20の質問項目に対して、とても当てはまる2点、少し当てはまる1点、全く当てはまらない0点で、何点取れるかを試してみて欲しい。
40点満点だが、得点が高い人はサイコパス傾向があるといえる。例えば30点以上の人はその傾向がある可能性がある。もちろん正確な診断には医師の判断が必要であるが、簡易な傾向はここでつかめるはずだ。
誰でも大なり小なりの「サイコパス的特性」を持っている
実際の医療現場では問診が併せて行われている。例えばこんな質問にどのように答えるだろうか?
<一般的な回答>
A たかしくんは、サッカーが好きではなかった。
<サイコパス傾向のある人の回答>
A たかしくんには、足がない。
Q 大嵐の日、あなたは車でバス停の前を通りかかった。そこには、死にかけの老人、自分の好みの異性、友人の3人がいるとする。車は二人乗りで一人しか乗せることはできない。あなたは誰を助ける?
<一般的な回答>
A 誰でもよいので、誰か一人を助ける。
<サイコパス傾向のある人の回答>
A 友人に車を貸して老人を連れていってもらい、自分はその場に異性と残る(つまり、人助けの名誉欲と性欲の二つを同時に満たすという異常に高い合目的性と利益追求の回答ができるという意味。ちなみに、私はこの回答を思いついてしまった。誰でも大なり小なりのサイコパス的特性は持っている。そのため、数例の回答でサイコパス的回答をしたとしても、それがすぐに治療が必要なレベルの問題であるとは思わないでもらいたい。ちなみに、サイコパスは治療といっても、傷を絆創膏で治すような簡単なものにはならないし、治療が可能なのかどうかすら、現在の医療ではまだよくわかっていない)。
サイコパスについて詳しくは、中野信子先生の著書『サイコパス』が的確で短くまとまっており、お勧めであるので、興味を持たれた方はそちらを読んでいただきたい。