長電話中の落書きは、脳科学的に創造的な営みだ

脳科学的に、落書きはとても創造的な営みであることがわかっています。

誰かと長電話しているときに、相手の話がずっと続いて「そうか」「そうか」と生返事をくり返しているようなときに、私たちは手元で落書きをします。話を押しつけられて苦痛に感じているようなとき、私たちは落書きによって、その場から逃れている。自分の無意識を自由にしているのです。

「これをやらねばならない」「すごいものを作らねばならない」と自分でプレッシャーを感じているようなときも、とにかく手を動かしてしまう。落書きからはじめてしまうと、すっと課題に入り込めることがあります。

意識的にやろうとしても、止まってしまうだけで動けなかったのが、落書きしていると自然に動いてくる。追い詰められて「やる気」などなくしても、とにかく意味なく動いてしまうことで、意識のコントロールから、無意識を解放させることができるのです。

落書きのような無駄に見える遊びによって、人は自由になってIT技術革新を起こすのであって、既成概念に囚われて自分たちは不自由になったりしないのだ、力が入って縮こまったりせず、どんなときも楽しんでいることが大事なのだ、というメッセージが、グーグルのトップページです。一人の人間の大変身の秘訣もそこにあるのかもしれません。

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ビギナーズ・ラック=「地道な努力+天真爛漫」

1992年バルセロナオリンピックの競泳女子200メートル平泳ぎで、岩崎恭子さんが14歳で初めてオリンピックに出て、史上最年少でいきなり金メダルを獲得しました。

レース後の彼女の言葉「今まで生きてきた中で一番幸せです」は、いまだに大勢の人の記憶に強く残っています。

最近では、ゴルフの最も権威あるトーナメント、全英女子オープンで2019年、渋野日向子さんが彗星の如く現れて、日本人としては42年ぶりにメジャー優勝を果たしました。あり得ないことを成し遂げているのに、ケロッとしている姿が印象的でした。

オリンピックや全英オープンなどの大きな舞台で、実際そのようなことはときどき起きてきました。

では、思ってもみない人が思ってもみない成績を収めるとき何が起こっているのか。

全員に共通していることの一つは、力が抜けているということです。

新人がいきなり大きな成果を出す「ビギナーズ・ラック」もよく知られています。

ゲームのルールがよくわかっていなくて、今この場所この場面の重要性がわかっていない。だから気負わずにプレーができて、勝ち抜けてしまう。しかし続けていって、一つひとつの意味がわかってくると、それが重荷になって、慎重になり勝てなくなってしまう。

初めてを楽しんで、天真爛漫にやっている人が、大変貌する可能性が高いのです。ビギナーズ・ラックは、「地道な努力+天真爛漫」と言えるでしょう。