香港民主派は中国の愛国者ではない「反中勢力」に
王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は7日、全人代に絡めてオンラインで記者会見した。
王氏はまず、香港から民主派を排除する選挙制度の見直しが全人代に提案されたことに触れ、「わが中国に対する忠誠は、選挙で公職に選ばれる者が従わなければならない政治的な倫理である」と強調し、選挙制度の見直しを正当化した。
この見直しは、香港政府トップの行政長官や立法会(議会)議員の選挙への立候補には「中国の愛国者」であることを条件とするもので、一国二制度のもとで自由と民主主義を求める香港民主派は中国の愛国者ではない「反中勢力」とみなされる。
選挙制度の見直しは全人代最終日の11日に採決され、賛成2895、反対0、棄権1で正式に決定した。
新たな選挙制度は、表向きは中国という国の発展を願う中国人民の象徴のようにみえるが、実情は共産党の一部幹部を利するための制度である。一党支配をさらに強固にするものだ。
香港や台湾などの問題で妥協しない姿勢を誇示
習近平国家主席は金融市場でグローバルに発展してきた香港を完璧に手中に捉え、中国経済に巨額な富をもたらそうと画策している。
こうした中国の香港民主派の排除の姿勢に対し、国際社会からは批判の声が上がる。しかし、中国政府は「香港の選挙制度の見直しは全人代の権限だ。これによって愛国者による香港統治を堅持する」と強く反論する。
7日の記者会見で王毅氏は、アメリカのバイデン政権に対し「核心的利益を犯されることは絶対に許さない」と強く語り、香港や台湾など主権に関わる問題で妥協しない姿勢を示した。中国に対するアメリカの制裁関税についても「中国とアメリカの協力の妨げとなるような措置は速やかに解除すべきだ。今後も新たな妨げを作ってはならない」と話した。
中国の横暴さはとどまるところを知らない。沙鴎一歩はこの連載で、中国を批判し、戒める記事をたびたび書いてきた。最近では「『台湾は必ず防衛する』中国の挑発に対してバイデン新政権が示した本気度」(2月2日付)、「習近平政権は『クーデターのミャンマー』を支配下に置こうと企んでいる」(2月13日付)、「『漁船いじめが激増中』中国から尖閣諸島を守るために日本政府がやるべきこと」(3月4日付)が、それに当たる。
香港、台湾、ミャンマー、そして尖閣。習近平政権は力によって次々と抑えつけようと動いている。いまの中国政府は、経済、政治から軍事まで世界制覇を企んでいる。だから軍事費を増やし、軍拡路線を歩んでいるのだ。
「ならずもの国家」と国際社会に強く批判されても核・ミサイルの開発を止めようとしない北朝鮮と同じ、いや、それ以上にしたかたで手ごわい脅威の国家である。