15万円の現金給付、失業給付も上乗せ

その状況下、バイデン政権は財政支出を慎重に進めるリスクは高いと判断した。つまり、小出し、小出しに経済対策を実施した結果として、雇用の回復に多くの時間がかかる展開を危惧した。言い換えれば、バイデン政権は足許の米国経済にとって、大胆に(巨額の)財政出動を行うベネフィットは、慎重な財政政策のリスクを上回ると考えている。

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その考えに基づき、米国の上下院では民主党主導で1.9兆ドル(GDPの10%程度)の経済対策が可決された。主な内容は、現金の給付(総額4000億ドル、最大で一人当たり1400ドル(約15万円)を支給、米家計の85%が対象)や、失業給付(総額2500億ドル、平均して週370ドルの失業給付に300ドルを上乗せ)だ。

対策の実施によって4~6月期以降の米個人消費の勢いは増すだろう。今後の感染動向にもよるが、ワクチン接種によって年後半の米国経済は正常化に向かい、景気が急回復する可能性は追加的に高まっている。

予算は昨年10~12月期名目GDPの13%を占める

その状況下、米国では過剰な需要が発生する可能性がある。経済の専門家の中には、年後半にかけて需要が急速に回復して物価上昇が勢いづき、インフレ率が3%程度に達する展開を想定する者もいる。過剰な需要の発生によって、米国の物価が一時的ではなく、相応の期間にわたって上昇する展開は軽視できない。

冷静に考えなければならないことは、昨年12月にも9000億ドル(約97兆円)の経済対策が成立したことだ。今回の1.9兆ドルを足し合わせると、経済対策の規模は2020年10~12月期の名目GDPの13%程度だ。経済対策の規模はやや過大に映る。

それに加えて、米国では個人の貯蓄が大きく増加している。その要因は、感染の拡大によって消費が減少したことや、これまでの現金の給付などだ。ワクチン接種によって経済活動が正常化すれば、貯蓄は消費に回るだろう。それと経済対策の効果が重なることによって、米国経済では比較的短い期間で需要が供給を上回る可能性がある。