資産全体でバランスを見て判断を
それでも価格が下落するのが怖いという人や、50代以上で数年後には年金を受け取りたい、という場合は、投資先の変更を考えてもいいでしょう。預金も候補になりますが、債券を中心に運用する投資信託に切り替える、という選択肢もあります。
そのような検討をする際には、DCやiDeCoだけでなく、資産全体のバランスをチェックすることをお勧めします。預金、貯蓄目的の保険、株式や投資信託など、資産全体を棚卸しするのです。リスク資産(株式など、元本保証がない資産)の割合が多すぎると感じたら、年齢に応じて徐々に減らしていくのもいいと思います。
その際、DCやiDeCoで投資している分はキープして、別に投資している分を整理していくほうが有利になる場合があります。前述のとおり、DCやiDeCoは利益が非課税であるため、利益が出やすい商品で運用したほうが、恩恵が受けやすいからです。
預金や保険での運用はモトがとれない
では、DCやiDeCoを預金や保険で運用している人は、今の時期、どんな戦略をとるべきでしょうか。
「確定拠出年金統計資料(2020年3月末)」の資産配分状況を見ると、DC、iDeCoともに預金や保険などの元本確保型で運用している人のほうが、投資信託で運用している人より多く、5割を超えています。
預金や保険での運用では運用益が非課税になるメリットが活きません。またiDeCoについては、口座管理手数料として月額で少なくとも171円、金融機関によっては600円以上がかかります。掛金が所得から控除され、所得税や住民税が安くなる節税効果はあるものの、預金や保険では口座管理手数料をカバーするだけの利息は得にくく、重い手数料を負担することになるわけです。
そうしたことからも、少なくとも50代前半までは、投資信託を選択したいところです。