「信用」の価値は高まっているが…

「クラウドファンディングを始めたので、お金を出してもらえませんか?」

こんな相談が、最近よく来ます。

一時ほどのブームではなくなったような感じもしますが、それでも一定数のクラウドファンディング利用者がいます。私もおもしろいクラウドファンディングがあるとお金を出し、その商品を手に入れたりしています。

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する方法です。あなたもなにか商売を始めるときにクラウドファンディングでお金を集めるのは、効果的な方法の1つでしょう。しかしこのクラウドファンディングから、今の時代でなにが大事なのかを考える必要があると思います。

今の世の中はお金を持つことよりも、「信用を持つ」ということのほうが価値が高いです。キングコングの西野亮廣あきひろさんがわかりやすいでしょう。彼がクラウドファンディングをすると、多くのお金が集まります。

もちろん、西野さんも全員に好かれているわけではないでしょう。しかしある一定数のコアなファンがいることはたしかです。そのコアなファン、言い方を変えれば信用度が高いファンの人たちは、「西野さんがやることならおもしろいはずだ」とお金を出すわけです。

同じことをやっても、西野さんでなければあれほどのお金は集まらないでしょう。

「信用をお金に換える」ことで信用度は下がっていく

この「○○さんのやることならおもしろいはずだ」というお金の集め方は、信用をお金に換えて、お金を集める方法です。信用をお金に換えているので、換えた分だけ、信用度は下がっていきます。どういうことかというと、「岡崎さん、クラウドファンディングを始めたから、お金を出してくれない?」なんてことを繰り返していると、どんどん人が離れてしまうわけです。

そりゃそうです。ちょっと付き合いがあるだけで何回もお金を出してくれと言われたら、たまったもんじゃありません。だから、頻繁に信用をお金に換えてしまっていると、長続きしない人間関係になってしまうのです。

写真=iStock.com/CatLane
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理想的なのは信用をお金に換えるのではなく、「信用からお金を生み出す」ことです。信用をお金に換えることと、信用からお金を生み出すという概念はまったく別物です。たとえばクラウドファンディングの例であれば、「○○さんがやっているから」という導入理由は問題ありません。

大事なのはここから。実際のサービスを見たときに、「このサービスなら○○さんでなかったとしても出資しますよ」と言われるのが理想的です。こうなると、元々の信用を土台にして、さらに信用を得て、お金まで出してもらうことができるのです。