VW、ダイムラー、BMWなどもEVシフトが鮮明

ステランティスのタバレスCEOは会見で、2020年中にハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、EVで29モデル揃えた電動車を「2021年に10モデルを追加して39モデルに増やす」と強調した。

写真提供=GM
GMのEV戦略の基盤となるプラットフォーム「Ultium(ウルティウム)」。50~200kWh以上のエネルギー貯蔵が可能で、フル充電で最大450マイル(約724km)の走行が可能という。

さらに、韓国の現代自動車への生産委託の報道で現実味を増したアップルのEV参入が噂される「アップルカー」の存在や、ハイテク企業の自動車事業へのアプローチにも「自動車産業への参入を歓迎したい」とし、異業種ハイテク企業との協業によるイノベーションに意欲を見せた。

欧州勢は最大手のドイツのフォルクスワーゲン(VW)はすでにグループで2030年までに約70のEVモデルを投入する計画で、ダイムラー、BMWなどもEVシフトを鮮明にする。

ただし日本は「EVをつくるほどCO2が増える」

こうした世界の「オールドスクール」の動きに対し、世界に先駆けたHVを主体に電動化を推進してきた日本勢には課題が多い。

政府は菅義偉首相が2020年10月26日に開幕した臨時国会での就任後初の所信表明演説で、国内の温暖化ガスの排出を2050年までに実質ゼロとする方針を表明した。それでも国際社会での出遅れ感も否めなかった。2021年1月18日に開会した今通常国会での所信表明演説ではさらに、すべての自動車販売を「2035年までにEVなど電動車に転換する」と踏み込んだ。

しかし、日本の自動車業界には、欧米に比べて再生可能エネルギーの普及が遅れている事情がある。化石燃料による電力依存が極めて高いためで、トヨタ自動車の豊田章男社長が「EVをつくるほどCO2は増える」と口にするほどだ。

そのためカーボンニュートラル実現のために自動車業界に多くを背負わせる政府方針を懸念する見方もある。