情シス本部長の1日のルーティンは
北明自身は会社に入ってから初めて、在宅勤務を経験しているが、正直に言うと、「慣れていない。慣れるという段階には到底、至っていない自分を発見する日々」とのこと。
「私は古いタイプなのかと思うのですが、在宅勤務では部下とリモートで朝礼、夕礼をやっています。定時が午前8時45分から午後5時45分なので、その時間にやらないと落ち着かない。
朝礼では、ひとりひとりが『今日はこれをやる』とみんなに伝えるようにして、夕礼では、『ここまでやりました』と報告する。それが生産性向上に役立っているかどうかは私にはわかりません。しかし、やめるつもりはありません。
仕事の服装に関しても古いタイプです。私は自宅でもワイシャツを着てズボンを履いて仕事をします。メンバーのなかには下はパジャマもいるかもしれない。リモートの会議アプリではカメラを切って、顔を出さないのもいるから、部下の服装はわかりません。私自身はワイシャツを着た方が気持ちの切り替えになるんです。
昼休みの時間はそれぞれが決めています。散歩する人もいるでしょう。
在宅勤務になると、オフィスで行っていた習慣、服装、行動のどこをやめて、どこを残せばいいかが個人の判断になるわけです。私はまだ判断がつかないから、オフィスにいるのと同じような時間帯で仕事をしています。慣れるには、自分が確信をもって、ワイシャツを着るとか、毎日、散歩するとか決めるべきだろうと思います」
部下の緊張感と集中力を保つのが仕事
「あと、在宅勤務にしてから、あれっと思ったのはオフィスにいる時よりも、打ち合わせが増えたこと。部下のスケジュールを見たら、びっしり入っていて……。これはよくないからカイゼンしなきゃと思っています。部下を見ていると、みんな、真面目ですよ。朝礼、夕礼、打ち合わせをしていると、規律正しく仕事をしている気配が伝わってきます。問題は真面目さがどのくらい続くのか。緊張感と集中力を在宅でどうやって保つのか。それは上司の仕事です」
アメリカ帰りの泉はこう補足する。
「在宅で緊張感と集中力をどう保つかは日本だけの問題ではなく、アメリカでも同じでした。
ちゃんと時間は使っているのだけれど、プロジェクトが遅れる……。そこで、マネジャーが在宅勤務のチームメンバーのひとりひとりと密なコミュニケーションを取るようにしました。そうすると、朝のミーティング、夜のミーティングなど、打ち合わせの機会が増えてしまう……。どこの国でも在宅勤務の問題点は見つかったけれど、それをどう解決していくかはこれからだと思います」