「投資の神様」の商社投資は、日本株で最大規模
ESG投資は、大きなうねりとなって世界経済を巻き込んでいる。世界最大規模の資産運用会社である米ブラックロックすらも2020年1月に、収益の25%を石炭生産から得ている企業からのダイベストメント(投資の引き揚げ)を発表している。
こうしたうねりに、日本企業も否応なしに対応を迫られている。政府も菅義偉首相が2020年10月26日の所信表明演説で、2050年までの二酸化炭素の実質排出ゼロを宣言し、石炭火力発電についても「これまで長年続けてきた政策を抜本的に転換する」と表明している。それだけに日本企業は、「脱炭素」に向けた行動を迫られる。
総合商社を巡っては、2020年8月30日、著名投資家として知られるウォーレン・バフェット氏は自ら率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを通じ、総合商社大手5社の株式をそれぞれ時価総額の5%程度を取得したと発表した。バフェット氏にとっては日本株への投資としては最大規模であり、株式市場に大きなインパクトをもって受け止められた。
取得目的など詳細は明らかにしなかったため、市場関係者の間では、バフェット氏の動きの解釈では諸説入り乱れる。ただ、はっきりしているのは「投資の神様」が脱炭素に向けた各社の取り組みと市場反応をしっかり見極めているという事実だろう。