読売社説は「病院間の連携強化が不可欠だ」と訴える
感染拡大を止めるには、若い人たちの協力が欠かせない。彼らは感染しても、無症状あるいは軽症で済むことが多い。だが自身が感染源になり、もしも身内の健康弱者に犠牲が出れば、居たたまれないだろう。
ずっと家に居ると気が詰まる。心が病んでしまったら元も子もない。たとえば一人で行動する分にはリスクは小さい。また外出先でも声を出さず、静かにしていれば、感染リスクはおさえられる。ただ、大人数での会食は避ける。飲酒をともなわないランチでも同様だ。私たち一人ひとりが協力し合っていまの流行を食い止め、いち早く緊急事態を脱しなければならない。
緊急事態宣言が発令された翌日、読売新聞(1月8日付)は「緊急事態再発令 病院間の連携強化が不可欠だ」との見出しを付けた1本社説を掲載した。
書き出しで「新型コロナウイルスの感染状況が緊迫の度を増している。政府、医療関係者、企業や個人がそれぞれなすべきことを行い総力を挙げて難局を乗り切らねばならない」と訴え、中盤では「コロナ患者に対応する医療体制の再構築を急ぐことが重要だ」と指摘している。
繰り返すが、感染者が急増すると、どうしても重症者や死者もかなりの割合で増える。その結果、医療体制が崩壊に追い込まれる。コロナ患者の治療だけでなく、一般の診療や手術もできなくなる。病床不足に加え、医師や看護師も足りなくなるからだ。救えたはずの命が救えなくなる。なんとしても感染者を減らし、感染の山のピークを押し下げなければならない。
コロナ患者用病床は日本全国の急性期病床のわずか4%だけ
日本の医療体制は世界でもトップクラスだ。医療体制の整っている日本でなぜ、医療崩壊の危機が迫るのか。しかも欧米に比べ、日本の感染者はかなり少ない。それなのに病床が足りなくなる。
厚生労働省によると、手術や救急治療に対応できる急性期の病床は全国に73万床ある。しかし、新型コロナの患者用に確保できているのは、2万7600床とわずか4%にすぎない。
日本には規模の小さい民間病院が多く、コロナ患者が大学病院など大病院に集中してしまう。多くの民間病院はコロナ患者の受け入れに消極的だ。感染を防ぐ陰圧室を作るにはコストがかかる。しかも何らかの原因で院内感染が起きれば、風評被害で一般の患者が減り、経営破綻に追い込まれかねない。