社長インタビューに同席する広報の態度でわかる
2の《「独裁」「もの申せないムード」に注目が集まる》というのも当然といえば当然だ。ワンマン経営者の「舌禍」は、周囲に誰も言動にブレーキをかける人間がいない、という組織の風通しの悪さが引き起こしている。
数年前、インタビューしたある創業社長もそうだった。お話をうかがっているうちに気持ちが乗ったのか、ある人たちについて「バカ」「死ね」など罵詈雑言が飛び出した。しかし、同席した広報担当者は「いつもこんな感じです」と言わんばかりに笑顔でうなずくだけだった。当然、インタビュー終了後も特にフォローはない。
大企業の場合、基本的にサラリーマン社長が多いので、この手の「舌禍」をマネジメントするのが広報の大事な仕事となる。問題発言をしようものなら「今の発言ですが」と割って入って修正をしたり、インタビュー後に「記事では削除してくれ」と依頼したりというのが普通だ。
炎上をきっかけに不信の目が集まると起きること
しかし、この会社はまったくそんなムードはなかった。「あのノリを外でやっちゃったら大変だなあ」と思っていた数週間後、くだんの社長はツイッターでの「暴言」で大炎上、謝罪に追い込まれた。
その際に、社長個人が叩かれたのは言うまでもないが、この会社の風通しの悪さもやり玉に挙げられた。トップが一般常識とズレた暴言をするということは、会社の内部も非常識なカルチャー、絶対君主に誰もモノ申せない空気があるのではないか、と勘繰られてしまったのである。
それだけならまだいいが、もっと別の大きな問題があるのではないかと疑いをかけられることもある。それが3の《ほかの不正やモラルを逸脱した行為がないか探られる》だ。
これも今の文春オンラインのキャンペーン報道がわかりやすい。「DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励『ゴールド社員の称号を与える』《消費者庁は「非常にグレー」》」という記事では、吉田会長が社員に「サクラ投稿」をせよと呼びかけた、という内部告発が寄せられているのだ。
もちろん、これが事実かどうかはわからないが、あのような過激な文章を公表するくらいの人なのでさもありなん、という印象は否めないだろう。