「幼児期の過ごし方」が重要になる

一番の方法は勉強の取り組み方を変えることだ。従来の受験勉強は、塾から教えられた知識やテクニックをくり返し覚え、大量の問題を解くことで、頭にインプットしていた。しかし、これからの入試はその知識や問題がそのままの形で出ることはまずない。その知識をもとに因果関係を説明させたり、過去の経験と照らし合わせて表現させたりするといった思考型や表現型の問題に変化していく。

子供は自分が経験したことや実感したことがなければ、思考をめぐらせたり、自分の考えとして表現したりすることができない。そういう点においては、これからはますます幼児期の過ごし方が重要になってくるだろう。早期教育に走るのではなく、身体を使った遊びや、視野の広がる経験、語彙ごいを広げる家族の会話を大切にしてほしい。それらが思考力や表現力を育む土台となるからだ。

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「何を」よりも「どのように」が大切

実際に受験勉強が始まったら、学び方を間違えないことだ。塾の先生の話をただ聞いていては、知識は右から左へと流れていくだけ。入試のスタイルが変わっても、受験に必要な知識量が大幅に減ることは考えにくいので、なんとなく覚えたつもりの知識は、家でまたくり返し学習しなければならない。そうなってしまうと、これまでの受験勉強のやり方から脱することはできない。

思考力や表現力を伸ばすには、子供自身に勉強の工夫をする余裕を持たせることが大事だ。そのためには、「なぜそうなるのか?」(原因)、「だったら、どうなるのか?」(予測)を意識しながら、納得して覚える習慣を付けることだ。そこをしっかり意識して学習すれば、無駄に大量の宿題をやる必要はない。

また、「考えることは書くこと」を徹底させてほしい。大人でもそうだが、頭の中にぼんやり浮かんでいることを言葉にするのは難しい。思考を整理するのは、書くことが有効だ。中学受験でこうした学び方を身につけておくと、その先の大学受験はもちろん、社会に出てからも活用できる。

これからの中学受験で大切になってくるのは、「何をやらせるか」ではなく、「どのように勉強をするか」。大量パターン学習が身についてしまった中学受験が、これを機会に大きく変わることを期待している。

(構成=石渡真由美)
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