「見てもらって話題になったら大成功」

「アパ社長って、面白い」
「かわいい?!」
「元気が出た! 私もあの強運にあやかりたい」

アパホテル社長の元谷芙美子は、テレビ出演や雑誌・書籍などを通して、その人柄や考え方が伝わった今は、多くの方に受け入れられてきました。

でも、アパホテルの社長就任直後は、誹謗中傷の嵐でした。自ら広告塔となり、人目をひく派手な帽子で日経新聞の広告に「私が社長です」とドーンと出たところ、「派手だ」「出しゃばりだ」などのクレームで会社の電話は鳴りっぱなし。「公共の福祉に反する!」という手紙まで届きました。

写真=iStock.com/ronstik
※写真はイメージです

並大抵の人間なら、ここまで叩かれたら心が折れてしまうかもしれません。が、アパ社長は並じゃなかった。「これは大チャンスや!」と目をキラキラさせ、

「広告塔なんだから、見てもらって話題になったら大成功。クレームだって反響の一つ。むしろ何も言われないのが一番ダメ」

と肚の据わったもの。結果は現在のアパの実績を見ていただければわかる通りです。

「意外とおいしかった」が重要

アパ社長カレーのヒットの一つ目の要因も「アパ社長」を前面に押し出したインパクト抜群のパッケージにあることは一目瞭然です。どんなにおいしい商品も、手に取って食べてもらわないことにははじまりません。お客様の口へ届く、最初のステップを社長自ら体を張ってクリアしているのです。

そして、インパクトの陰にあるもう一つのヒットの理由が「意外性」です。お客様の反応で多いのが、

「面白いから買って帰ったけど、思った以上においしかった」
「あんなパッケージなのに、本格的な味でびっくりした」

元谷拓『アパ社長カレーの野望』(青春出版社)

というもの。SNSで話題になったり、インスタ映えすればいいな、家族や友人にウケれば十分。そう思って買った人が、「意外なほどおいしかった」と、さらに話題にしてくれたのです。

人間の心理として、予期していなかったことほど強く印象に残るもの。ウケ狙いの目的で買った人にとっては、「期待していなかったけど味もよかった!」という得をした気分も味わってもらえたわけです。

「売名行為カレー」などといわれたこともありますが、はい、仰る通り。アパの名前を覚えてもらえればありがたい。でも、それだけじゃありません。アパ社長が自信をもってお奨めするホテル直営レストランの本格派ビーフカレー、ぜひお楽しみください。

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