コロナ禍でホテル業界が苦戦する中、アパホテルは「10万室」の目標を掲げて、拡大戦略をさらに進めている。ほかのホテルとどこが違うのか。アパグループの元谷外志雄代表に聞いた——。
アパグループ元谷外志雄代表
撮影=市来朋久
アパグループ元谷外志雄代表

信用累積型経営でピンチをチャンスに変えた

アパグループの2019年11月期の経常利益は335億円で、過去5年間で累計1670億円の利益を計上してきました。2020年はさすがに赤字になるかと思いましたが、2020年11月末の連結決算では10億円を超える経常利益となりました。5月10日に創業50周年を迎えますが、当社は創業から一度の赤字も出していないことになります。

さらにまた、2015年4月1日から開始した中期5ヵ年計画「SUMMIT 5-II(第二次頂上戦略)」で掲げた目標であるパートナーホテルを含むアパホテルネットワークとして10万室を達成することができました。客室数は2021年2月25日現在、建築・設計中、海外、FC、提携含む662ホテルで10万2393室です。

2020年の開業ホテル数(FC含む)は27ホテル7090室、2021年(~2月末)の開業ホテル数は3ホテル304室と、コロナ禍の直近だけでみても多くのホテルが開業されました。

20年5月10日から「コロナに負けるな」キャンペーンとして、宿泊料を採算割れの最安値2500円で打ち出すなどの施策を行いました。おかげで、アパホテルを普段利用しないお客様にお越しいただくことができ、コロナによって4月は約30%、5月は約45%にまで落ち込んだ稼働率は、6月度には72%まで回復いたしました。ただ、都内のホテルはこれまでは常に稼働率100%でした。

この結果は、ひとえにこれまでやってきた信用累積型経営の真価が発揮された証左であると言えるでしょう。

アパホテルよりも客室数や棟数の多いホテルチェーンもありますが、アパホテルはそれらのホテルチェーンの倍の経常利益を出しています。メインターゲットである出張ビジネスマンにとっての利便性をとことん反映した「新都市型ホテル」戦略をとってきたからです。