“弱毒化した”“重症化しにくくなった”は誤り

最近の日本においては、感染者数の拡大に対し、死亡者の割合は減少傾向にあります。そのため、「ウイルスが弱毒化しているのではないか」と、一部報道で指摘されています。

しかし、いまのところ新型コロナウイルスの「感染力が高まった」とする報告はありますが、「重症化しにくくなった」というものはありません。

一見このように見える原因は、感染初期の頃は症状が出た人だけにPCR検査を行っていたのに対し、最近では濃厚接触者であれば、症状がなくても検査が行われるようになっていることにあります。

無症状や軽症の感染者も発見できるようになっているため、相対的に重症化患者や死亡者が減ったように見えているのです。

感染者に占める20代、30代の占める割合が多いのもそのためです。

さらに季節の問題もあります。ウイルス感染症ではよくあることですが、夏場は感染や重症化が起きにくくなる傾向があります。

欧米で新型コロナウイルス感染症が高い致死率を示していた3、4月の頃、南半球で夏場であったブラジルでは致死率は低かったのです。ところが冬場となる6、7月頃から急速に致死率が上がってきています。すでに数字にも表れてきていますが、日本でもこの冬、ますます警戒を強める必要があると言えます。

「外からの感染防止対策」だけでは不十分だ

今後、新型コロナウイルスがどのように変化していくのかは誰にもわかりません。突然、毒性の強いウイルスが感染を広げる可能性も否定できません。

あくまで、現在までゲノム解析によって新型コロナウイルスは多種多様に変化していること、そして結果として感染力が高まっていると推測されているだけです。

小林弘幸著、玉谷卓也監修『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社)

また、仮に弱毒化したとしても、それがわたしたちにとってただ単純に安心できる変化とも限りません。

なぜなら、重症化リスクを持つ人にとって危険であることに変わりはないからです。感染力が高まっているぶん、重症化リスクを持つ人にも感染する可能性も高まっています。そして、今後さらに感染力を高める方向に進化していく可能性も否定はできません。

そうであれば、わたしたちが取り組むべきことは、外からの感染防止対策だけでは不十分です。

新型コロナウイルスへの対策として、より根本的に大切なのは重症化リスクを下げること。つまり免疫力を高め、健康な身体を維持する生活を心がけることなのです。

また、新型コロナウイルスの感染・重症化リスクの遺伝要因、環境要因が、膨大な研究により明らかになってきています。

このようなリスクについて判定する検査(筆者プロフィールにリンクあり)を受けることにより、自分のリスクを把握することで、適切な新型コロナウイルス感染症への対策が可能となります。

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