親と子どもとの距離を“磁石”でイメージ

親と子どもが磁石だとイメージしてみてください。

親子の適切な距離というのは、磁石がくっつきそうでくっつかない距離のことです。

その距離を見つけるには、まずはいったん気持ちのうえで子どもから引いてみましょう。つまり、距離を取って意識的に遠ざかるというわけです。

たとえ元の距離が遠過ぎたという場合にもさらに距離が開いただけですから、今度は少しずつ近づけばいいだけのことです。

逆に近過ぎた状態からさらに近づいてしまうと、磁石はぴったりくっついてしまいますよね? いったんその状態になってしまうと適切な距離に離れるのはなかなか難しく、必要以上に子どもにかかわってしまうということになります。

子どもを見てイライラしたら、まずは引いてみる──。そう心がけてください。

「転ばぬ先の杖」が子どもの成長を妨げる

わたしが見る限り、いまの親と子どもとの距離はとにかく近過ぎるようです。

すぐに「転ばぬ先の杖」を差し出してしまい、子どもが自分で考えたり失敗したりすることは減る一方です。

その反面、子どもは「最初から成功しなければならない」と強いられています。それでは、子どもが失敗を恐れて挑戦することを敬遠するようになるのもあたりまえのことですよね。

しかも、親によって「最初から成功しなければならない」と思わされた子どもの場合、とくに失敗を恐れたり挑戦を敬遠したりするのは、「親が見ているところ」ということになります。

そして、失敗をして立ち上がるという経験もないのですから、親が見ていないひとりぼっちの場面で挑戦をして失敗してしまえば、大きな心の傷を受けるということになってしまうのです。

親が見ているところで子どもに失敗させてあげる

本来なら、これは逆であるべきでしょう。

親が見ていて手を差し伸べられるところで失敗して立ち上がる経験をさせてあげて、子どもがひとりのときには失敗をしない、あるいは失敗をしてもしっかり立ち上がる力をつけさせてあげるべきではないでしょうか。

だとするならば、子どもが勇気を出してなにかに挑戦しようとしたときには、親は結果など気にせず、それこそ適切な距離を取って「うちの子は成功するかな? 失敗をするならどんな失敗をするかな?」と、ニコニコとしてただ見ていてあげればいいのです。

そうすれば、子どもは親の顔色を窺ってビクビクするようなことなく、たとえ失敗をしても何度でも挑戦する人間に育っていくはずです。