国民の約半数に向けた施策で、忘年会消滅を防げるか
GoToイートについての世論調査を見てみると、国民の約半数は冷めた目でみていることがわかります。この新型コロナが危険な時期に税金を投入してわざわざ感染を広げるようなことをする意味があるのかといった意見です。
ところが残り半数は真逆で、せっかくGoToイートキャンペーンがあるのだから、この時期に大いにそれを利用したいと言っています。つまりここがGoToイートの政策としての肝の部分で、国民の半数が外出を自粛する中、税金を投入することで残り半分の国民に飲食店に向かってもらおうとしている。これが苦境の飲食業界を救うためのGoToイートの戦略なのです。
GoToイートキャンペーンはその性格上、人数が多い会社での忘年会よりも人数が少ないグループでの忘年会の方が使いやすい仕組みです。仮に第一弾の仕組みを使って30人の忘年会の幹事を担当して3万円分のポイントを手にしてしまうと、それをどう組織に還元するかでひと悶着が起きそうです。それよりも第二弾のプレミアムお食事券を利用した4~5人の集まりなら25%分のプレミアム分だけ精算の際に差っ引けますし、そのことで予約した幹事は讃えられるでしょう。
仲間内の忘年会というのは年賀状と同じで、必要な年中行事であると同時に、なんとなくの惰性で続いている習慣でもあります。それが一度止まってしまうと、ひょっとすると「もうなくてもいいんじゃないの?」と言った具合に、行事としての需要がなくなっていく方向に世の中が動いてしまうかもしれません。ですから新型コロナが猛威をふるう2020年冬は飲食業界にとっては鬼門です。
しかしそこで忘年会がなくならないように個人忘年会需要をGoToイートが下支えしてくれるわけです。そしてもし忘年会がコロナ余波でキャンセルになったら、ポイントが残っているので今度は新年会を企画しなければならない。新型コロナで景気が心配な飲食業界を支えるために、GoToイートは思っていた以上に重要な政策だといえるのではないでしょうか。