一回でも忘年会を見送ると「もう、やらなくていい」となる

この冬、新型コロナがどのように再流行するかどうか不安な状況です。これから先、平均気温が低下し大気が乾燥するとコロナウイルスの活動は活発になるといいます。すでにフランスでは二度目のロックダウンが行われ、ヨーロッパとアメリカ、インドで感染の拡大が深刻な状態になりつつあります。

友人たちとビールで乾杯
写真=iStock.com/Drazen Zigic
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一方、日本や韓国、中国など東アジアの地域ではこれまで感染が抑えられる、ないしは感染が広がっても重篤化が抑えられてきました。このまま冬に第3波の感染が再拡大しても、欧米と比較して死亡者数は少なく抑えられる可能性もあります。

その前提で考えれば、日本にとってのこの冬のコロナ問題は経済面が大きいといえるでしょう。直近の問題は、年末年始の忘年会・新年会需要です。中でも忘年会は目前に迫っていますが、今年は一体どうなるのでしょうか?

年末年始の忘年会・新年会需要は、飲食店にとって書き入れ時です。しかし政府が「GoToは4人まで」と声を上げ始めたことで、今年は大企業を中心に「今回は忘年会禁止」というルールが広がりそうです。すると「新しい日常」が始まった今、一度忘年会をなくした結果、「もう、やらなくてもいいんじゃないか?」という意見が出るかもしれません。

実際、新しい日常は長期的に影響を及ぼしはじめています。会社に出勤しなくてもリモートで仕事が成立する。出張をしなくてもウェブ会議で用件が済む。きっかけはコロナでも、やってみて問題なかった、あるいは効率的だということがわかると、その変化はアフターコロナでもずっと続くことになります。つまりコロナ以降の経済ではオフィスビルやビジネスホテルの需要は元に戻らなくなりそうなのです。

「会社は家族」の前提が覆された平成30年間のツケ

若い世代を中心に、もう20年以上も前から「そもそも忘年会って何なんだろう?」「忘年会って必要?」という声が挙がっています。会社によって仕組みはまちまちですが、部署単位で半強制的に出席を求められる会費制の忘年会について疑問が生じるのは当然かもしれません。しかも、新年会まで含めれば12月、1月という1年のうち約2カ月を確実に飲み会の調整に使っていることになります。

そもそも日本社会で年末になると忘年会が開かれるのは、小さな社会の中での結束力を強めるために必要だからです。

はるか昔、日本的労働慣行の中で終身雇用・年功序列だった時代には「会社は家族のようなもので、一生、社員の面倒をみてくれるものだ」という前提があって、年末にはその結束力を確認する意味で部署単位の忘年会に全員出席するというのは当然の慣行でした。

では、その労働慣行が崩れた平成の30年間はどうだったのか。これは皮肉な話ですがより一層、会社組織は結束力を高める必要が生じます。