忘年会需要は“法人”から“プライベート”にシフト

さて、ここまでは企業の部署単位のような大人数の忘年会についての話をしてきました。忘年会のもうひとつのボリュームゾーンである少人数の仲間内の忘年会についてはどうでしょうか。

実は飲食業界にとっては企業や団体の忘年会需要よりも、個人の少人数単位での忘年会需要の獲得のほうが今後はより重要になるのではないかという予測があります。

その視点で私が参考になると考えるのが、お歳暮需要の変化です。昭和の時代、お歳暮といえばお世話になった恩師、会社の上司や取引先に贈るものだと考えられてきました。ところが時代が変わり、コンプライアンスが重要視されるようになった結果、上司にお歳暮を贈る習慣は廃れ、取引先からも「従業員に対する贈り物等のやり取りは禁止する」といった通達が当たり前のように出される世の中になってきました。

お歳暮
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その結果、今ではお歳暮市場に占める取引先や仕事関連の需要は激減し、アンケート調査によってはお歳暮需要全体の15%程度まで比率が低下してしまいました。では誰にお歳暮が贈られているのかというと、圧倒的に親、親戚、そして知人です。

お歳暮と比べれば少人数の忘年会は仕事関連でも誘いやすいかもしれません。会社の先輩が後輩数人に「おい、鈴木組の忘年会やるぞ」と誘うケースは自然ですし、取引先に対しても「年末に一度、軽く会食でも行きませんか」と誘うのは接待としても声をかけやすいものです。

とはいえお歳暮の事例を念頭に世の中の需要全体を考えると、そういった法人需要的な性格の忘年会からプライベートな性格の忘年会へと需要がシフトしていくという流れは飲食店としてしっかりとおさえておく必要はありそうです。

その観点で、アフターコロナで小規模プライベート忘年会需要を習慣として確保していくために、今年の冬に重要なことは何でしょうか。私は引き続きGoToイートを盛り上げることが来年以降の忘年会需要の灯を消さないために重要だと考えています。ポイント還元の第一弾はすでに予算終了しましたが、11月下旬から始まった第二弾の「GoToイートプレミアム付食事券」が忘年会の未来のカギを握るのです。

GoToイートは自粛期間にジワジワと効く

さまざま批判のある政府のGoToキャンペーンですが、その中でGoToイートキャンペーンは比較的うまく回っていると捉えられています。実際に10月1日に始まったGoToイート第一弾は、農林水産省の発表では10月23日時点ですでに予約が1500万人を超えたといいます。

GoToイートが需要喚起をする仕組みとして面白いのは、利用が無限に続く仕組みになっている点です。オンライン飲食サイトで予約をしてランチで500円、ディナーで1000円のポイントがついても、それを次に使わないとお得になりません。それで次の予約をして食事に行くとまたポイントがつく。すでにポイント付与は多くのサイトで終了しましたが、付与されたポイントはその多くがまだ未使用であり、来年3月末まで使えます。

つまりこれから先、新型コロナが再び猛威をみせ始めて、フランスと同じように日本でも「そろそろまた自宅に籠ったほうがいいかな」と考える時期に、別の事情として「でも手元にポイントがずいぶん残ってしまっているからな」と消費者が悩む状況が発生するわけです。

ここは個人の判断が分かれるところですが、一定の人たちは「だったら親孝行で家族忘年会でも開こうか?」とか「仲の良い友人でいろいろあった2020年をしめようか?」といったように、若者世代で少人数での飲食店利用の増加につながる可能性は高いです。