「過剰な対応」が医療逼迫を招いてしまう
一方、新型コロナウイルスが激増しても陽性者は1日数千人規模にとどまるでしょう。
新型コロナウイルスの規模の小ささがわかります。
今までどのウイルスに何人がウイルスにかかるのかなんてメディアも取り上げなかったため「数千人!」とか聞かされるとびっくりしてしまいますが、1都道府県数百人規模のカゼウイルスにしては極端に少ない数字です。以前のコラムでは米粒で説明しました(注15、16)。日本ではオーバーシュートも医療崩壊も起きませんでした。東京のロックダウンの必要もありませんでした。
それなのになぜ、医療の逼迫が議論されるのか。それは、ルールが厳密すぎるからです。無症状も多いウイルスなのに濃厚接触者に追跡調査まで行ったり、クラスター発生におびえながら軽症者に濃厚対応したりしていれば疲弊は必至です(注17)。もちろんロックダウンも必要ありません。
コロナウイルスだけでなく、アデノウイルスやRSウイルスなどの鼻カゼウイルスでも大量の資金を投入してPCRを徹底追跡し、その人に接した人を隔離していくことは理論的には可能ですが、意味がありません。国土に持ち込まれて1年経過しています。交差免疫だけでなく、集団免疫も獲得していることでしょう。
年々流行は小さくなっていくはず
最後に数年後の姿を予想してみましょう。新型コロナウイルスは5つ目の季節性コロナウイルスのバリエーションの一つとして小規模に冬にはやることでしょう。こうやってビーナスは去っていきます。
もし、ワクチンが実用化されるようになれば減衰度合いは大きくなるでしょう。不安な方が接種できるので、あればより安心材料になります。
死亡者数から類推される2019年年末からの陽性者数と、季節性コロナウイルスとして振る舞った際に予想される陽性者数の低下が未来の減衰カーブを予想させます。
オーストラリアも冬季に収束している
夏に海外からの持ち込みによる小さな流行の波がありましたが、日本の死亡率は第1波の時よりもとても低かった。今後も死亡率は下がり続けるでしょう。オーストラリアでも冬季の間に収束しました(注18)。
来年以降は季節性ウイルスになるため、経済封鎖も必要なくPCR検査の実施徹底と追跡調査も必須ではなくなるでしょう。その過程にいることを認識すべきです。いつまでも全例PCRや、宇宙服で診察するというのはムダでしかありません。
デモが繰り返し行われているタイの写真では、マスクをしない人もたくさんいますが(注19)死亡者の増加はありません(注20)。
年始からの検査可能件数が著しく増えた(図表1)という前提条件を無視して「過去最高を記録」などと表現しても意味を持ちません。第3波と呼ばれているものは、すでに季節性になった冬の感冒コロナウイルスとしての増加を観測しているだけかもしれません。