※本稿は、加藤映子『思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
日米で違う「読み聞かせ」のやり方
アメリカの親がしている読み聞かせの「やり方」から学ぶべきことはたくさんあります。具体的に読み聞かせのやり方のどこがどう違うのでしょうか。
結論を先に言うと、読み聞かせをするとき、日本の親子はあまりやりとりをしません。
親が子に問いかけ、子どもがそれに答える(あるいはその逆)というやりとりがアメリカの親子に比べて少ない。基本的に、親の話を子どもが黙って聞いている、という読み聞かせなのです。
私がこのことに気づいたのは、ハーバードでの研究を通じてでした。
私がはじめて読み聞かせの研究にかかわったのは、修士課程のときのことです。
「Language and Culture(言語と文化)」というクラスをとっていたとき、そのクラスのTF(ティーチング・フェロー。教員をサポートして、学生の指導にあたる博士課程の大学院生)に研究の手伝いを頼まれました。
彼女は、博士論文の前に提出する論文のテーマとして、日本人親子の読み聞かせの研究を行おうとしていました。その調査を手伝ってほしいというのです。
このときは、夏休みを利用してボストンに住む日本人の母子2組を訪問して、読み聞かせの様子をレコーディングさせてもらいました。
その後、4年間の留学を終えて帰国した私は、日本でも読み聞かせについての調査を続けました。実際に家庭で行われている読み聞かせの様子を取材させてもらい、データを収集していったのです。
こうして調査を続けていくなかで気づいたことが、
「日本人の親子は、読み聞かせをするときにやりとりをしない」
ということでした。