「欧米人は自己主張が得意」なのは、幼少期から訓練しているから

ちなみに、アメリカの幼稚園や小学校では「ショー・アンド・テル(Show and Tell)」という、プレゼン力を鍛えるセッションを行います。子どもたちは家からクラスメイトに見せる何かを持参し、話をするというものです。

たとえば、普段は持参できないおもちゃを持ってきて、「これは僕のいちばん大事なおもちゃ」と話すと、先生は「どうしてそれがいちばん大事なの?」とか「なぜそれを選んだの?」と問いかけ、子どもの発話を拡張していきます。

アメリカ人の子どもも最初から、うまく話ができるわけではありません。

「Show and Tell」を通じて、「人にお話しするときには、ポイントが必要なのよ」と導いていくのです。人前で自分の意見を述べるスキルは、場数を踏むことにより、だんだんと慣れていくことでもあり、アメリカ人の子どもは小さいときから何度もそのような経験を積んでいるのです。

「欧米人は自己主張が得意」と言われるのも、こうした「自分の考えを人に伝える」訓練を、学校や家庭レベルで幼少期から実践しているからです。そして、自分の考えを人に伝える下地ができているからこそ、中等教育以降にディスカッション形式の授業にすんなり移行できるのでしょう。

翻って日本はどうでしょう。

あなたは小学生のときに書かされた読書感想文や、遠足の感想文は得意でしたか?

私は本当に苦手でした。

先生からは「事実の羅列を書かないように。それは感想ではない」と事前に言われるのですが、そうなるとますます何を書いていいのかわかりません。

それもそのはず、日常的に「思考力」「伝える力」を伸ばす訓練を行わない日本の初等教育では、自分なりの考えを発表する機会が、そもそも感想文を書くときくらいしかないからです。

「考える力」「伝える力」がうまく伸びるように誘導すべきだ

基礎訓練をしていないのに感想文を書けというのもかなり理不尽な話だと思いませんか?

むしろ普段の授業では黙って話を聞く生徒がいい子だとみなされるわけですから……。

加藤映子『思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』(かんき出版)
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ましてや、乳幼児のときに親が一方的に物語を読み、自分は黙って聞く環境で育った子どもは、「伝える力」の訓練をしていないのはもちろんのこと、「自分で考える力」の訓練も十分にしていない可能性があります。

一方的な読み聞かせをしたほうがいいと主張する人たちは、「子どもの想像力や考える力を信じよう」といったことをその論拠にしがちです。しかし、大人にできることは「信じること」しかないのでしょうか?

子どもの「考える力」「伝える力」を伸ばしたいなら、むしろしっかり確認しながら、その力を伸ばすようにうまく誘導すべきではないか、というのが私の見解です。

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