「今は女性のほうが強い」と思う人ほど要注意
そこで、こんなふうに思う人たちがいます。
「男尊女卑なんて古い時代の話で、いまはそんなものなくなっているじゃないか」
「男女雇用機会均等法ができたのだって、いまから30年以上前だ」
「最近は、むしろ女性のほうが強いぐらいだからねぇ」
実は、こう思った人ほど要注意です。顔を上に向ければ自分の頭上は見えますが、顔を下に向けても自分の足の下に何があるかは見えません。自分が踏みつけているものの存在には気づかないままでいられるのです。実態はともかく、日本は建前としては男女平等を謳っている社会です。男性というだけであからさまに優遇を受けることは表向きにはなくなりましたし、女性にも男性と同じチャンスが用意されているように見えます。
いってみれば“わかりやすい”男尊女卑は絶滅しつつあるのです。けれど、世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダーギャップ指数」の2019年版で、日本は153カ国中121位でした。例年、最下位クラスをキープしているという不名誉な状況です。
当たり前すぎて「麻痺」していないか
昨今は“男性と女性は決して対等ではない”ことを示す事象が次々と明るみに出ています。2018年には、東京医科大学や順天堂大学医学部の入試試験で女性受験生だけ一律減点していた事実が明らかになりました。共働き家庭は増加する一方なのに男性の育児休暇取得率は約6%ですし、いまだに夫婦別姓が認められていません。国会中継を見れば、ほとんどが男性議員だとわかります。
男性が優遇され女性が不利益をこうむるシーンが日常にあふれすぎているため、われわれはすっかり麻痺しているのだと思います。男性が履かされているゲタが透明化しているのも、その現象を後押ししています。当たり前のようにそこに存在しているものに、人は意識を向けません。男尊女卑依存症社会のほころびはすでにそこかしこに見えているのに、それに依存している人は視界に入れようとすらしません。だから、鈍感なままでいられるのです。