落ち込みが激しかったのが大崎や田町といったエリア

まずは、立地について見ていく。上野や浅草といった観光地や買い物客でにぎわう街、それから銀座、赤坂などの社用族の飲み会や接待需要に支えられている街は、壊滅状態といっていい。前者であれば外国人観光客が主客層であった店は、つぎつぎに閉店、廃業。浅草の有名老舗お好み焼き店では、従業員すべての首を切って休業したという。

後者であれば、たとえば、役人や政治家がいう「接待を伴う飲食店」の客たちで成り立っているような銀座のバーは大打撃であった。クラブやキャバクラなどが休業したため同伴やアフターなどの需要がまったく見込めなくなったからだ。

新橋や神田といった会社員でにぎわう大衆的な繁華街も、リモートワークが推奨されるようになってからは人影がまばらになった。なかでも落ち込みがとくに激しかったのが、大崎や田町といった比較的新しい企業がオフィスを構えるエリアの店だったという話も聞いた。そういった企業のほうが、リモートワークを積極的に採り入れたからだろう。

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飲み屋街、歓楽街、ショッピング街など、多彩な顔をもち、都庁のお膝元でもある新宿は、エリアによってばらつきはあるが、繰り返し名指しで指弾された影響は大きく、ゴーストタウンのようになった。

都心の高い店で飲むより、地元の良心的な店を開拓したい

その一方で都心から離れ、住宅街に近い街の酒場には地元客が通い続けた。筆者の地元でも、ふだんは会社の近くで飲むことが多かったが、出社していないので、あるいは会社の近くでは飲みづらいのでという理由で家の近くの酒場を利用するという人に随分会った。

行きつけのバーの店主も、「来てくれるのはありがたいが、『密』になってしまうのも困りもので……」と、閑古鳥が鳴く都心のバーテンダーが聞いたら怒りそうな悩みを抱えていた。

そこから導かれる結論が、先に挙げた①である。リモートワークは今後も推奨され、定着していくことになるだろう。これを機に、都心の高い店で飲むより、地元の良心的な店を開拓してみようという消費者が間違いなく増えるはずだ。