自信喪失から立ち直らせてくれた先輩の言葉

撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】これまで音楽家としてどのような壁に直面されましたか?

【宮本】たくさんあります。なかでも「自分はヴァイオリニストとしてやっていけるのかな」と初めて迷いかけたのは高校生の時です。ある合宿で中学3年生の子と一緒になったのですが、その子は私が弾けない曲をバリバリ弾いている。テクニックも素晴らしいし、なおかつ自分の世界というものを持っている。その子を見て急に自信がなくなってしまったんです。

でも、そのとき一緒に合宿に参加していた先輩が「笑里ちゃんは笑里ちゃんの良いところがあるんだから、今はとにかく基礎をきちんとやって、誰よりも努力をすれば結果につながるはずだよ」とアドバイスしてくださりました。その言葉はすごく心強い言葉として私に響いて、「ちゃんと聴いてくれる人もいるんだ。負けてられないな」と思うようになって、そこから頑張りましたね。

【三宅】応援してくれる人の存在は大きいですからね。

モチベーションが下がったときはコンサートに

【三宅】語学学習も勉強を続けることに意義があると思うのですが、モチベーションが下がっているときに、なにか心がけていらっしゃることはありますか?

【宮本】コンサートに行きます。生の響きを会場で聴くと、「自分もうかうかしていられないな。もっと練習を頑張らなきゃ」という気持ちにさせられます。あと、その奏者の弾いている姿や奏でている音を聴いていると、いまの自分にフィードバックできる学びや気づきが得られるんですね。

だから、コンサートに行くと、だいたいまっすぐ家に帰って、記憶が鮮明なうちに練習をするようにしています。すると、その後の練習にまた張りが出るというか、次につながっていくような気がするんです。