20種以上も発売されている

「ハイパーファットン」「バリ男」「千里眼」「野郎ラーメン」など二郎インスパイア系の店名が入っているものや、「ニンニク」「マシマシ」「ヤサイ」など「二郎」を想起するキーワードが入っているもの、黄色いパッケージが明らかに「二郎」を意識しているものなど、集計すると、現在発売されているだけでも20種類以上の二郎系カップ麺が存在する。『世界一美味しい「どん二郎」の作り方』(宝島社)の著者で、カップ麺業界に詳しいB級グルメ研究家の野島慎一郎氏は語る。

「傾向としては、日清が二郎系カップ麺を極めた感じがあります。1月に発売した『豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク』は最強です。それに味をしめたのか立て続けに二郎系のカップ麺をたくさん出されていますね。

『日清のどん兵衛マシマシ篇 ガチニンニク背脂風豚骨』や、UFOの二郎系まぜそば『日清焼そばU.F.O.大盛 汁なし豚らーめん ニンニク背脂醤油味』もすごい完成度でした。カップ麺ではありませんがインスタント麺の『豚園』も傑作でしたね」(野島氏)

「豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク」は筆者も以前食べたことがあるが、そのクオリティには大変驚いた。

「二郎」の醤油感をうまく表現したキレのある豚骨醤油スープ。ここに太麺、大ぶりチャーシュー、多めのキャベツ、そして極め付けにニンニクの香りの付いたアブラ増し袋と、極限まで再現性にこだわっている。希望小売価格が368円(税別)と超高額ながら、カップ麺のレベルをはるかに超えた商品だった。

画像=日清食品株式会社
日清食品「豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク」

手軽にお店の雰囲気が味わえる

緊急事態宣言以降、ラーメン店に足を運べなくなり、「二郎」の代わりに二郎系カップ麺を食べた人も多かったと思うが、それ以上に、「二郎」に行ったことがない人や、興味はあるが怖くて行けなかった人にとってはカップ麺の存在は大きい。

「二郎」ほど量も多くないので食べやすく、気軽に「二郎」の雰囲気を味わうことができるのだ。「ガツンとしたものを食べたい」という欲求を部分的に満たし、手軽に「食べた感」が得られる。さらに、うま味に中毒性があるのでリピーター獲得にもつながりやすいといえる。