逆に言うと、絶好調のときに「感情株」は値上がりしています。絶好調の人はわざわざ他人に助けを借りる必要がないからです。
普段から親しい人間関係を築く
調子のいいときだけすり寄ってきて、相手のピンチには適当にあしらうタイプの人は、「感情株」が高いときにわざわざより多くの心理的債務を負いに行って、ピンチで「感情株」が値下がりしている(=心理的債権の価値も相対的に下がっている=同じことをしてもより効率よく債務を返済できる)ときに全然返さない、という、投資としては一番ヘタクソな動きをしていることになります。困っている人は助けてあげましょう。
「感情株」(心理的債権)のいいところは、それ自身ほとんどお金がかからないということです。ニコニコ挨拶をするとか、相手が困っているときに助けてあげる、などは一銭もかかりませんよね。
ですから、お金がまったくなくてもできますし、何人もの株を持つこともできます。明確に額面が決まっているわけではないので、最初の額から上がった下がったという話でもありません。全員から回収しなくてもいいのです。ただ、たくさんの人の株を持っていると、そのぶん自分が困っているときに助けてくれる確率が上がることは間違いありません。
人生ずっと絶好調のまま、という人は独立資本でも生きていけるかもしれませんが、人間何があるかわかりませんよね、私も含めてですが。いざ絶不調になって、「なんとか生きていかなければいけない」というとき、もちろんお金も大事なんですが、「普段から親しい人間関係を築いておく」ということがいかに大切か、ということです。
「通帳の数字を増やすゲーム」には意味がない
最初に「死なないために、生きていくために投資をする」と書きましたが、投資というのはあなたの持っている資産をフルに使ってやるものです。この「資産」というのは現金や証券や不動産だけを指すわけではありません。「感情株」ももちろん資産です。そして、最終的に自分の持つ資産の総量が増えれば投資は成功ですから、目先の通帳の数字が多少増えたり減ったりすることに一喜一憂してもしょうがないのです。
お金はとても大事です。私は商人なのでそれをよく知っています。しかし、だからこそお金ではどうにもならないこともよく知っています。お金を持っていようと持っていまいと、精神的に満たされている人は豊かです。老後の心配をせず、安心して日々を楽しく暮らすために投資をしたい、のが本来の目的ですよね。それがいつの間にか「通帳の数字を増やすゲーム」になってしまうと、心配とイライラでちっとも楽しくありません。
好きな人や作品や商品や企業を応援して、たくさんの人と仲良くして助け合い、穏やかな日々を送っている。本当に投資に成功している人というのは、そういう人のことを言うのだと思います。