このようなクレームがコロナ禍で増加しているという。もともと、店舗を持つ業態では、運営主体へのお申し出内容として、「店頭での態度や対応について」が、「製品へのお問い合わせ」と同じくらい多い。それがさらに、コロナ禍において、自分が納得するまで説明を続けてほしい(聞き続けたい)人が増えているというのだ。不安により、過剰なまでの問い合わせになり、「グレー」な申し出になってしまう。

グレークレームを発する人の5つの“分類”

ここでは、事例に挙げた女性の心理的な背景を分析していきたい。

今回の場合、買い物に訪れた店舗の衛生対策への不安を、運営主体の責任問題として申し出ている。それが過剰である・執拗であるというのが、グレークレームとして認識される行動だ。これを、顧客の心理の視点から見ると、その背景には、

・店舗の対応が&運営主体の指導が不十分なのではないかという先入観
・自分の不安感の正当性を、相手(企業)になんとしても伝えたい

という感情が潜んでいる。

時に、いつも通っている店舗との関係性を壊したくないという理由で、運営主体へ連絡してくるという生活者もいる。経験的にそのようなタイプは、要求度が高いことが多い。自分の主張を直接店舗に言っても受け入れてもらえないと感じているからだろうか?

日本対応進化研究会では、グレークレーム心理マトリックスを以下のような5つに分類している。今回の事例をプロットしてみると、戦略性や攻撃性も中間的な、思い込み・勘違い型と捉えられる。

「自分が正しい」という思い込みから抜けにくいタイプ

このタイプは、自分自身は正しいという思い込みから抜けにくく、相手が間違っていることを前提とした主張が目立つ。直感的・瞬間的な行動と共に、相手からの訂正に対して、「否定された」「聞く耳を持ってもらえない」と感じ、さらに執拗に自分の主張を繰り返すことが多いタイプである。しかしながら、理不尽すぎるということはなく、実は製品・サービスのリピーターやファンということもよくある。根本的には、製品・サービスをより良くしてあげたいと前向きに申し出されている、良いお客さまともいえる。

最近では、日常の生活においても、身近な人から、まるで押し付けられるようにおススメの感染予防グッズを手渡されたという経験をした方もいるのではないだろうか。