表面化した問題をどう解決するか

任務や労働規範や仕事のプロセスをめぐる争いは非常によく見られる。争いの理由が何であれ、次に示す方法で対立を迅速に解決できることがある。

早期に介入する。メンバーが対立しているときは、上司が介入する時期が早ければ早いほどよい。ひとたび言い争いが始まったら、感情が高ぶって、状況を鎮めるのが難しくなることがある。状況を悪化させると、感情的なしこりが残ったり、怒りが尾を引いたりする結果になりかねない。単純な意見の違いもあっという間に深刻な対立に発展することがあるので、リーダーが組織内の力関係を認識し、不協和音が拡大しているときは敏感に察知することが大切だと、ボヤツィスは指摘する。

チームの規範に目を向ける。いったん論争が発生したら、一番よい解決方法は、みなが合意できること、もしくはすでに合意していることに立ち戻ることだ。成文化されたものでも、暗黙のものでもよい。部署全体で規範について議論したことがない場合は、このときがその好機である。論争を軸に議論を組み立てないよう注意し、「前進するために参加ルールを決める」という目的に的を絞ろう。

双方が合意できる点を見つける。上司の仕事は、対立しているメンバーが合意に達するのを手助けすることだ。「それぞれの当事者と彼らの見方を支えている根拠に敬意を払うことが重要だ」と、ブレットは言う。ボヤツィスによれば、そのための唯一の方法は徹底的に話し合うことだ。ほとんどの上司は「対話を途中で打ち切ったり、包括的な対話を避けたりする」と、彼は言う。
「双方の主張が出揃ったら、双方の視点を考慮に入れた解決を促す」必要があると、ブレットは説明する。

ビジネスの世界では、「妥協」という言葉は往々にして悪いニュアンスをともなうが、解決策は双方の主張の共通点だけを取り出したものである必要はない。むしろ、双方の利益を統合したものであるべきだ。可能なら、共通の目的や価値観や自己認識に立ち戻ろう。そうすれば落としどころを見つけやすくなる。

「争いの傷を癒す最善の方法は再び仕事を始めることだ」とボヤツィスは語る。組織としての自信を取り戻すために、比較的簡単な仕事を彼らに与えよう。上司は、次の課題に移って仕事に集中する手本を示すことができる。対立のせいで仲間はずれにされている部下がいたら、重要な仕事を任せたり、意見を聞いたりすることで、彼らを集団の中に戻す努力をしよう。感情的なしこりが残っている場合には、少しの間、一緒に働くことはさせないよう取り計らってもよいだろう。そこから先は、メンバーがどのように協力しているかを定期的にチェックする習慣をつけよう。本格的な対立に発展する前に、問題を突き止めるのに役立つはずだ。