争いや対立が起こる前に対処する

残念ながら、ほとんどの管理職が、チーム内に不和が発生した時点で対処すればよいと思い込んでいる。だが、ブレットはその前にもっと準備するべきだと言う。対立は必ず起きるものなのだから、起きたときにうまく対処できるよう、しっかりした管理方法を考えておくべきだと言うのである。これは問題をより迅速に処理する助けにもなる。

「対立が起きてからそれを解決しようとすると、はるかに多くの労力がかかる」と、ケース・ウェスタン・リザーブ大学ウェザーヘッド経営大学院の組織行動学教授で、『Primal Leadership: Learning to Lead with Emotional Intelligence』の共著者、リチャード・ボヤツィスは指摘する。

もうひとつの効果的な予防措置は、全員に同一の目的や価値観や自己認識を持たせることだ。

「組織そのものについて話し合うことに一定の時間を割く」べきだと、ボヤツィスは言う。

この話し合いでは、目標や評価基準のような問題に関心を集中するのではなく、まず組織の目的について合意を形成しよう。この手の会議は、組織の結成時に行い、その後も繰り返し行うべきだ。ボヤツィスがメンバーになっているある協会は、過去10年にわたり、年に2度会議を開いているが、会議のたびに冒頭で10年前に合意したチームの規範を読み上げている。部外者には奇妙に思えるかもしれないが、彼はこれこそチームを団結させ目標に集中させている要因だと思っている。