矢沢永吉に恋愛相談
【吉田】とにかく、「知らない」という武器の有効性はすごく高いということです。私の挙げた例は少し極端だったかもしれませんが、気が引けるようなら、聞く前に「知らなくて失礼なのですが」と断ればいいだけです。今この瞬間まで知らなかったけれど急に気になった、という状況は、実はすごくありふれているんですよね。わかりやすくいうと、日本に来たばかりの外国人に日本の風習やルールを聞かれて、別に嫌な気はしないし、むしろうれしかったりもするじゃないですか。それと同じです。
「相談する」というスタイルも同じですよね。これも有名なエピソードがあって、大宮エリーさんが矢沢永吉さんにインタビューしたとき、大宮さんが「モテなくて悩んでいる」という恋愛相談を延々する形になっていて、すごく面白くなっていました(『SWAK 2012-13 AW』日販アイ・ピー・エス)。これは、白井先生のおっしゃっていた制度的コミュニケーション風のシチュエーションを活用しているといえますね。交話的コミュニケーションが苦手な人は、生徒が先生に相談するという「制度」の体で会話をしてみるのは、すごく良い方法です!
ちなみに、ニッポン放送では「テレフォン人生相談」は不滅の大人気長寿番組です。相談するという方法は鉄板です。誰だって相談したいことのひとつやふたつありますし、人から相談されたら、よほど何かない限り助けてあげたいと思うのが普通です。特に期待することもなく、雑談の材料として相談してみて、思わぬ悩み解決のヒントが得られれば最高です。さらに、話の中から相手が別の情報を出してくれれば儲けものです。
「今度女装しなくちゃ……」は最高に盛り上がる
【サロン参加者B】その相手の得意分野を知っていると、相談しやすいかも?
【吉田】そうそう、本当にそうですね。「○○に詳しいとうかがっているんですけど、相談していいですか?」と、事前に調べておいて相手が持っている経験に頼る、という入り方はいいと思います。逆の立場になってみれば、自分ができるなら、喜んで力を貸したいですよね? 鉄道に詳しい人に、旅行の計画とか相談したら、嬉々として話してくれますよ! ちなみに極端な例ですが、女性に「今度女装しなくちゃいけないんですよね……」なんて相談すると、みんなむちゃくちゃ楽しそうに相談に乗ってくれます。