最も人気のフレーバーは「桜」風味
TokyoTreatの近本さんも同じ意見だ。
「今はハロウィーン限定スナックがたくさん出ているが、2週間しか売らないものも多い。季節ごとにフレーバーが変わるため、継続的に買っていきたいと思える商品が多いのも特徴」
TokyoTreatで今最も人気があるのは桜風味で、新たなフレーバーとしてこれまでトップの人気だった抹茶に取って代わる勢いだという。
こうした季節感に加え、パッケージの美しさや機能性もアメリカのスナックは足元にも及ばないといい、「素晴らしい日本のエンジニアリングです」(ダニーさん)。さらに「日本のお菓子に入っているような吸湿剤はアメリカでは使われていません。フレッシュさを長く保つ技術にも優れているのです」と説明した。
食には保守的なアメリカ人に起きた異変
アメリカ人の味覚はもともととても保守的だったが、それを変えたのがミレニアル世代だ。彼らが台頭した2010年代から、アメリカ人の食文化は急速に変貌した。食事はただ食べるだけでなく、新たな体験、「コト消費」の一つとなったのだ。インスタには「フード・ポルノ」と呼ばれる料理やスイーツの写真が溢れ、YouTubeはあらゆるレシピや、珍しい食べ物を紹介するビデオでいっぱいになった。
そんなユーチューバーが新たなアイテムとして日本のスナックを発見したのである。パッケージがカラフルでキュートなだけでなく、アメリカ人の常識や想像を超える味や食感は、彼らにとって全く新しいエキサイティングな体験だった。
ボックス・サブスクはまさにこの体験が詰まった箱なのだ。TokyoTreatは毎月厳選したスナックに夏休みやハロウィーンなどの季節感を添え、箱を開けると楽しさが弾けるような演出だ。
Bokksuは、お菓子の箱と一緒に、特別に編集されたマガジンを毎回同封している。日本の伝統文化やお菓子メーカーのインタビュー記事などが載っており、食べながらページをめくることで、顧客はまるで日本を旅したかのように、その空気も味わうことができる。
コロナ禍で実際に旅行することが難しくなったからこそ、こうしたサービスに大きなチャンスがあるのみならず、日本の魅力を伝えてくれる観光大使のような役割さえも担う、価値あるビジネスだと言えるだろう。
しかし実は、こうしたサービスが人気となった大きな理由がもう一つある。それは日本のお菓子がアメリカのスーパーやコンビニでほとんど手に入らないという現状だ。