1台1500万円のエアカーテンを設置予定

さらに、クラブニュー花では今後、同社の協力を得て気流によるエアカーテンを店内テーブルに設置する予定だという。これはラスベガスのカジノなどで導入されている最新機器で、人と人との間に空気の壁を作り出すものだ。

高梨凛ママ/茨城県出身。地元の高校卒業後、福島県いわき市にあるスパリゾート・ハワイアンズでフラダンスのショーダンサー(フラガール)を務める。20歳で上京。銀座のホステスになり、2010年にママに。創業54年のクラブニュー花に移籍、現場を切り盛りする。

「エアカーテンがあれば、対面でも飛沫が防止できます。ただ、このエアカーテンの導入はそれなりにコストがかります」

なんと、エアカーテンの設置は一台約1500万円。

「コストはかかりますが、飛沫感染を防止できる。お客さまの安心はどこまで追求しても追求しすぎることはないだろう、ということでお店に導入することを決めました。入店時の医師の検査、そしてエアカーテンと、小池都知事が警鐘を鳴らしている懸念点はすべてゼロにして安全に楽しめるお店にしたいんです」

このような徹底した行動には、感染源として「夜の街」と名指しされたことに対し対策をするというママの覚悟を感じる。

「現在、都が飲食店にアナウンスする22時までの営業時間要請は、お店の運営を考えるとかなり難しい。というのも、銀座のクラブはおおむね20〜24時が営業時間で、ピークの時間帯は22時。自粛要請に応じて感染防止協力金20万円をもらっても、銀座のクラブでは割に合いません。」

偏見で批判の対象にされた“夜の街”の挑戦

前出の北條氏は、今後も医師を派遣し続ける予定だという。

北條康弘/リアン専務取締役。山一証券会社勤務後、国内外において数々の会社を経営。医療法人の代表理事となる。24時間365日体制の在宅医療サービスを提供し、1都3県の自宅や企業へ医師を派遣する「ナイトドクター」のサービスを提供している。(撮影=長谷川智紀)

「弊社の所属ドクターは東大や順天堂大などの勤務医ですが、彼らも『ぜひ夜の街に派遣してほしい』と協力的です。コロナ禍の真っただ中でポジティブな発言は不謹慎かもしれないですが、今後はコンタクトレステック(非接触技術)を活用した“新たな日常”がウィズコロナ時代の希望の光になると私は考えています。また、しばしば批判される“3時間待ち3分診療”という日本の医療体制が感染対策の観点から不適切であることは、コロナ以降多くの方が実感されたと思います。それを解決するための、オンラインとリアルが融合した『ニューリアリティ』という概念も生まれはじめています」

コロナ以降、ビジネスシーンにおいて非接触・非対面でのコミュニケーションがスタンダードになりつつある。

そんな中、新たなテクノロジーがコロナの感染防止策としてスタンダードになるのは明らかだろう。

「ニュー花さんが導入するエアーカーテンはその典型。定期的な換気はもちろん、気流を変えるなど工夫すれば飛沫感染はほぼ防げます。そもそも、コロナ感染のほとんどが飛沫ではなく接触によるものです。その点で『夜の街』だけが批判されるのは偏見です。今後、『夜の街』への協力や、正しい医療情報を発信していくのもわれわれのミッションであると考えています」

はたして、銀座のネオンが「コロナ前」の水準にまで戻る日は来るのか。

一軒の高級クラブの徹底対策が世論を動かすその日が来るのは、あり得ないことではないように思う。

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