バブル時代が日本の宗教人口のピークだった

1995年には、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こり、宗教は恐ろしいというイメージが広がった。それは、宗教を信じる人の割合、信仰率にも影響を与えた。しかしそれが、2割5分の減少の主たる原因ではない。

島田裕巳『捨てられる宗教 葬式・戒名・墓を捨てた日本人の末路』(SB新書)

神道系の信者も、仏教系ほどではないもののかなり減少している。日本の宗教は衰退しつつある。そのことが、平成の30年間を振り返ってみることで明らかになってくるのである。

平成の時代は1989年からはじまる。それは80年代なかばからはじまるバブル経済が頂点を極めようとしていた時期にあたる。株価や地価は上がり続けており、それに比例するかのように、宗教団体の信者数も、バブルの時代がもっとも多かった。

バブルがはじまる前の『宗教年鑑』昭和55年(1980年)版を見ると、信者数の総数は、1億7603万8611人で、昭和63年版と比べると1580万人少なかった。神道系が7986万9429人で、仏教系が8350万4031人だった。いずれも、昭和63年版の方が増えている。仏教系は300万人ほどの伸びだが、神道系は1600万人も増えている。どうやら平成のはじまりの時点が、日本の宗教人口のピークだったようなのだ。

それが、平成の約30年が過ぎるあいだに、激減という事態が起こった。しかも、その傾向は、令和の時代に入っても変わらない。依然として宗教団体の信者数は減り続けている。宗教消滅に向かっていることは確かだ。そのなかでも、とくに仏教系は深刻な事態に直面しているのである。

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