●質問を適切に書く

効果的なアンケートの作成には3つのステップがある。重要な問題や分析要件を明らかにするフォーカスグループの設置、質問の作成、そしてテストだ。これらの作業は何度も繰り返すものであり、数週間、場合によっては数カ月かかることもある。

最初のステップでは調査対象層を代表する5~10名のフォーカスグループによって、新しい観点が見え、さらに詳しく調べる必要がある徴候や反応が明らかになるとともに、調査で使用される用語が回答者に理解されているか否かを判断することもできる。

質問には、できる限り一般的な単語を用い、専門用語や一般的ではない用語は定義をする。略語や俗語、そして「保守的」や「リベラル」といった回答者の価値観に訴えかけるような言葉は避ける。また、回答者が迷ったり、回答が複数になったりするような構造の質問も避ける。例えば、「R&Dやマーケティングのコストは減らすべきか」という質問は二つに分ける。複数選択肢の回答には、「変化なし」など、中立的なものも入れておく。

文書による質問と口頭での質問が異なるように、郵便による調査と電話調査は別ものだ。回答者が「大変満足している、やや満足している、どちらでもない、やや不満足、きわめて不満足」のいずれに相当するかは、書面では質問できても、電話では質問できない。このような詳細が必要な場合には、まず回答を二者択一形式にして、さらに細かい選択肢を提供する。

質問は、できる限り分野別、または目的別に分ける。対象分野の範囲内で、構造が似ている質問は一つにまとめる。例えば、「はい/いいえ」で答える問題は一つにまとめ、次に採点やランク付けを行う質問を持ってくる。回答率を上げるには、最も興味を引くような質問を冒頭に置き、個人的な質問や答えにくそうな質問は最後に回す。

自由形式の質問は、大変参考になる意見が得られる可能性がある一方で、分析用に分類するのが最も難しいという面もある。「はい/いいえ」で答える質問は明快ではあるが、重要な問題につながるような兆候を見落としかねない。採点やランク付けを行う質問は、分析作業に最も手間がかかる。

アンケートは、実施前に試験をしてみる必要がある。「質問によって回答時間にばらつきがないか」「特定のセクションで回答者が戸惑っている様子はないか」など、調査に応じているときのテスト対象者を観察する。